芥川賞作家の李琴峰さん「アウティング被害」で提訴 甲府市議のSNS投稿に対して

SNSでトランスジェンダーだと暴露する「アウティング」に当たる投稿をされたとして台湾出身の芥川賞作家・李琴峰(り・ことみ)さんが5日、暴露した村松裕美・甲府市議に550万円の損害賠償と投稿の削除を求める訴訟を東京地裁に起こした。
李さん側は、性別変更は極めて高度なプライバシー情報で、暴露されれば人間関係や社会生活が崩壊する恐れがあり、プライバシー権と人格権が侵害されたと主張している。
李さんは2013年に来日。
女性として生活し、性別変更したことは周囲には伝わらないように注意を払ってきたという。
ところが2024年に入り、市議がSNSで李さんについて「身体が男性」などと投稿していることに気づいた。
抗議すると削除されたが、市議は別の人物のSNSに載った李さんの性別変更前の写真を投稿したという。
李さんは、自身がトランスジェンダーだと周囲が知っているかもしれないと不安になり、心身の不調に陥ったようだ。
また、性別変更前の写真は過去の苦痛な経験を思い起こさせ、絶対見られたくないものだと訴えている。
李さんは2021年に『彼岸花が咲く島』で芥川賞を受賞。
その後、SNSなどに性別に関する投稿があふれるようになり、2024年11月に自身のホームページで、トランスジェンダーであることを公表。「カミングアウトするしかありませんでした」という。
文:BEST T!MES編集部