こだわりのスクラムと、「世界で最も家族的なチーム」

 アルゼンチン躍進の原動力は何か。

 まずスクラムだ。1970年代に、ブエノスアイレスの名門クラブ・サンイシドロのコーチだったビジェガス氏が、足を置く位置、姿勢と組み方などといったスクラムの構造を、他国に先駆けて研究。それが国内試合のスクラム戦のレベルを上げ、世界トップクラスのスクラムを作り上げた。初の8強入りを飾った1999年W杯では、スクラムでペナルティを得てはSOゴンサロ・ケサダが着々とPGを決めて接戦を勝ち上がった。

 次のキーワードが欧州組。99年の躍進をきっかけに、欧州のクラブが次々にアルゼンチンの選手を獲得した。1999年W杯のアルゼンチン代表30人のうち欧州クラブに在籍していたのは7人に過ぎなかったが、2003年には15人に倍増。2007年大会では23人とチームの大半を占めるまでに。個々がレベルの高いチームで競争にさらされタフになったこと。さらに普段は国外でバラバラに過ごしている分、ナショナルチームに集まったときの求心力が他国とは段違いに強くなり、「世界で最も家族的なチーム」としてW杯を戦えたこと。これらが大きく躍進した要素だ。

 そして「SANZAA」。アルゼンチンは2012年から、世界のトップ3と言われる南半球列強との4カ国対抗戦「ザ・ラグビーチャンピオンシップ」に参戦した。SANZAAとは、その大会に参加している南アフリカ(SA)ニュージーランド(NZ)オーストラリア(A)アルゼンチン(A)の頭文字を取った言葉だ。この強敵と毎年ホーム&アウェーで対戦し、地力をレベルアップさせた結果が、昨年のW杯での2度目の4強入りだ。

 今回の来日チームの注目選手は、昨年のW杯で大会得点王に輝いたSOニコラス・サンチェス。蹴って良し走って良し、マスクも良しの万能司令塔だ。FWではフッカーでキャプテンのアグスティン・クリーヴィー。スクラム、ラインアウトのセットプレーはもちろん、ボールが動いた場面でも効果的にアタックに参加する機動力と読みが抜群だ。水色ジャージーの陽気でマジメなタフネス軍団。伝統国に挑む日本にとっては良きライバルだ。対戦できる喜びを感じつつ、この強敵に挑む日本代表を応援しよう!

写真:ニコラス・サンチェス 2014~2015年は五郎丸が所属するRCトゥーロン(仏)でもプレー
写真:アグスティン・クリーヴィー スクラムの強い押しと突破力が光るアルゼンチンのパワーハウス