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性欲のあるシニア男性がバイアグラの市場拡大に貢献

◆バイアグラの偽物にご注意

門倉貴史著の『不倫経済学(ベスト新書)』第4章「老いてなお盛ん、老人の性愛」より、シニアのバイアグラ需要について紹介する。

 

 

 2025年には、約800万人と言われる団塊の世代(1947~1949年生まれ)が75歳(後期高齢者)を迎える。

 近年では、70代・80代の高齢男性がED(勃起不全)治療薬を服用するケースが目立つようになった。ED治療薬としては、ファイザーの「バイアグラ」、バイエルの「レビトラ」、イーライリリーの「シラリス」などが有名であるが、高齢男性はこれらの中でもとくに知名度の高い「バイアグラ」を服用することが多い。

 たとえば、秋田県の西明寺診療所が70歳以上の高齢者を対象に実施したヒアリング調査(男性153人、女性173人)の結果によると、「バイアグラ」の服用を希望する男性は41%に上った。しかも、性欲があってギンギンに勃起もする男性に限定すると、希望者は57%に達した。元気な老人ほど「バイアグラ」による助けを望んでいるということだ。その一方、性欲のある高齢女性の31%が夫に「バイアグラ」を服用してほしいと回答している。

 現在、日本国内のED治療薬の市場規模は約100億円程度と推定されるが、シニア男性の需要増に伴って、先行き、市場規模は一段と拡大していくことが予想される。

 一部の読者は「ED治療薬はどれも強い薬と聞くけど、高齢者が服用しても大丈夫なのかな?」と思うかもしれない。実は、「バイアグラ」などのED治療薬に年齢の上限は設定されておらず、20歳以上であれば、何歳であろうと服用可能だ。性欲さえあれば、ED治療薬は高齢者でも十分に効果を発揮する。実際、かなりの高齢の男性が「バイアグラ」を服用していたりする。

 具体例を挙げると、米国『PLAYBOY』誌の創刊者ヒュー・ヘフナー(90歳)は、80代になってからも、「バイアグラ」を服用して、夜の性生活を思いっきりエンジョイしているという。「バイアグラ」の飲みすぎで、片方の耳が遠くなってきたとも言われているが、本人は「たとえ耳が聞こえなくなっても、セックスを楽しめるほうがずっといいわい!」と強気の発言をしているそうだ。

 ただ、ED治療薬は、特定の持病を抱えている人は服用できない。高齢になるにつれて持病が増える傾向があるので、持病が気になる高齢者はかかりつけの主治医にED治療薬の服用が可能かどうかを相談してから服用すべきだろう。

 また、ED治療薬については、大量のニセモノが出回っている。ニセモノは、健康に甚大な悪影響を及ぼす恐れもあるので十分な注意が必要だ。

 偽バイアグラの主な供給基地は、中国やインド、北朝鮮となっている。日本に出回っているニセモノの場合、その8割近くが中国製だ。ED治療薬は、本来、医師の処方箋がなければ入手できない。しかし、個人使用目的で1カ月間使用する量であれば、例外的に個人輸入が認められており、ニセモノを輸入販売する者は、この制度を悪用する形で個人輸入代行業者を装う。末端の購入者は、インターネットのサイトやスナック、ラブホテルなどで偽バイアグラを買っている。

 世界保健機関(WHO)は、ED治療薬を中心としたニセモノ薬品の貿易取引額が最大で約3兆1500億円に上ると推計している。

 高齢者のED治療薬に対する需要の拡大に伴って、ニセモノの薬品は将来さらに増えていくことが予想される。今後、世界レベルで偽造医薬品の摘発を行っていく必要があるだろう。

<門倉貴史著『不倫経済学(ベスト新書)』より抜粋>

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  • 門倉 貴史
  • 2016.02.09