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高齢者によるアブない事件、急増の背景は

門倉貴史著『不倫経済学』より抜粋

◆高齢者によるストーカー犯罪が1.8倍に

門倉貴史著の『不倫経済学(ベスト新書)』第4章「老いてなお盛ん、老人の性愛」
より、高齢者ストーカー急増の背景を紹介する。

 警察庁の資料によると、60歳以上の高齢者によるストーカー犯罪は、2009年時点の1191件から2014年には2199件へと5年間に1.8倍にも膨らんだ。とくに、70歳以上の老人によるストーカー行為の増加が顕著で、60歳代のストーカー犯罪が過去5年間で1.7倍に増えたのに対して、70歳以上では2.3倍に膨らんでいる。

 
 

 なぜ、高齢者ストーカーが急増するようになったのだろうか。背景のひとつには、この世代の人たちがこれまで本当の恋愛をしてこなかったという事情がある。

 現在の高齢者は、いわゆる「団塊の世代」を中心に、朝から晩までモーレツ社員・企業戦士として働き、日本経済の高度成長を支えてきた人たちばかりだ。仕事一筋で恋愛経験が少なく、親にすすめられるままに縁談して結婚する「お見合い結婚」が主流だった。当時の企業社会では、結婚してようやく一人前という風潮もあったので、恋愛は二の次で、とりあえず、出世のために結婚したという人も少なくない。

 「自分の人生でやり残したのは恋愛」という気持ちが強いので、長年勤めた会社を退職して、時間とお金を持て余すようになってからは、もっぱら今までの人生で置き去りにしてきた恋愛に注力するようになる。

 自分のすべてを捧げてきた会社を辞めたことで、生きがいがなくなり、自己のアイデンティティーを失うような感覚にとらわれてしまい、恋愛のほうに意識が向くといったこともあるだろう。

 しかも、若い頃の恋愛経験が少ないため、ふとしたきっかけで知り合った女性に少しでも優しくされると、過度な期待を抱いてしまい、ただの親切心を自分に対する好意と勘違いして、ストーカー行為へと暴走することになってしまうのだ。

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  • 門倉 貴史
  • 2016.02.09