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単身赴任で起こりがちな結婚生活のトラブルとは

【法律歳時記】転勤が多くなる季節に知っておきたい法律の話

Q 半年前結婚したばかりの新婚なのですが、なんと地方転勤を言い渡されてしまいました。全国転勤のある会社だと知ってはいましたが、新婚早々離れ離れになるなんて…。転勤って断ることは出来ないんですか?(20代男性)

A 転勤は労働者に多大な負担を課すものなので、使用者が転勤を命じるには、労働協約や就業規則、個別の契約によって転勤の命令権が労働契約上根拠づけられている必要があります。
 ただし、 会社に転勤の命令権が一般に認められても、社会正義上認められないようなひどい場合は権利濫用として無効になります。もっとも、裁判例上、転勤命令は、かなり広く認められています。
 たとえば、転勤に応じると単身赴任せざるをえないとか(帝国臓器製薬事件、最二小判平11.9.17)、転勤によって通勤時間が片道約1時間長くなり、保育園に預けている子供の送迎等で支障が生じる(ケンウッド事件、 最三小判平12.1.28)といった程度の場合は転勤が認められています。
 逆に、労働者に過酷だとして転勤命令が認められなかったケースは、転勤を命じられた労働者が、病気の家族3人の面倒を自ら見ていた場合(東京地判昭3.8.31)、病気の子供2人と近隣に住む体調不良の両親の面倒を妻と2人でみていた場合(札幌地決平9.7.23)などかなり限られた場合です。

 本件では「全国転勤のある会社だと知ってはいた」とのことですが、単に社内の噂レベルで知っていたのではなく、入社時の契約で「必要とあらば転勤してもらう」旨の契約に合意していた場合は、会社に転勤の命令権があることになります。その場合、転勤を断りたい理由が単に「家族と離れるのが寂しい」と言った程度では、何のペナルティもなく転勤を断るのは難しいかと思われます。(同弁護士)

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