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プロフェッショナルとして黒田博樹が持ち続けた覚悟
その原体験にあった大阪球場のこと

黒田博樹投手の引退。「決めて断つ」「クオリティピッチング」の2冊を刊行した編集部の感謝の言葉

黒田博樹投手引退。2冊の著書を刊行した編集部が、感謝を込めて多くの人に届けたい黒田投手のすごさ。

■ふたつあったタイトル案

 

 広島カープ、黒田博樹投手の引退――。
 その一報を耳にしたとき「ついにこの日が来てしまったのか」と喪失感がある一方で、「ああ黒田投手はようやく解放されるのかもしれない」という安堵感に似た、相容れない感情が沸きあがってきました。
 なぜそんなふうに思ったのか。
 それは、黒田投手がマウンドに上がるまでの「覚悟」が並大抵ではないことを取材中、ずっと感じていたからです。

 黒田投手にはその半生と哲学がつまった『決めて断つ』、そしてピッチング理論と戦うマインドを記した『クオリティピッチング』ふたつの著書があります。2012年に単行本として刊行された『決めて断つ』は、あの広島カープへの電撃復帰後の2015年に、その決断への葛藤と広島カープへの思いを大幅に書き加えて頂き、文庫として刊行。あわせて12万部を超えるベストセラーとなりました。

 実はこの『決めて断つ』、黒田投手が挙げられたもうひとつのタイトル案に『覚悟』というものがありました。黒田投手はマウンドを戦場と捉え、いつもこの一球で終わってもいい、という「覚悟」を持っていたというのは、カープファンの方ならよく知っているエピソードだと思います。

 しかし、それ以外にも、カープからメジャーへの移籍、メジャーで代名詞だったストレートへのこだわりを捨てること、メジャーからカープへの復帰など、つねに「覚悟」をもって人生の「決断」をしてきた。その思いが表れている本だからこそ「覚悟」――なるほど、と思ったことをよく覚えています。

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