激太りよりは、激瘦せのほうがマシ。そう考える現代女性は少なくないですし、彼女の最期はそんな感覚を体現するものでもありました。しかも、健康至上主義ともいうべき世の中で、命よりも大事だと思えるものを見つけ、死の直前まで打ち込むことができたのです。54歳という惜しまれる若さだったことも含め、幸せな人生だったといえるでしょう。

 瘦せ姫には、命より大事なものをめぐって葛藤している人が多い印象です。そういう人にとっての幸せとは、健康で長生きすることより、命より大事なものを見つけて死ぬまで打ち込めることなのかもしれません。

(註1)『文藝春秋』2015年11月号(文藝春秋)

(※著書『瘦せ姫 生きづらさの果てに』本文抜粋)

 

【著者プロフィール】 

エフ=宝泉薫(えふ=ほうせん・かおる) 

1964年生まれ。早稲田大学第一文学部除籍後、ミニコミ誌『よい子の歌謡曲』発行人を経て『週刊明星』などに執筆する。また健康雑誌『FYTTE』で女性のダイエット、摂食障害に関する企画、取材に取り組み、1995年に『ドキュメント摂食障害—明日の私を見つめて』(時事通信社・加藤秀樹名義)を出版。2007年からSNSでの執筆も開始し、現在、ブログ『痩せ姫の光と影』(http://ameblo.jp/fuji507/)などを更新中。