あらためて振り返る維新の会の正体【適菜収】
【隔週連載】だから何度も言ったのに 第71回
兵庫県知事・斎藤元彦問題で、追い詰められた維新の会。さらにはカラオケ店で中学1年の女子生徒に性的暴行を加えたとして、日本維新の会の元衆院議員、椎木保が逮捕された。セクハラ・パワハラは維新の一丁目一番地。その背後には菅義偉や竹中平蔵といった日本凋落の元凶がいる。近代大衆社会の末期症状を描き出してきた適菜収氏の「だから何度も言ったのに」第71回。人気の長期連載が大幅加筆修正され、単行本『日本崩壊 百の兆候』として書籍化され話題に!

■兵庫県知事斎藤元彦に見る維新スピリッツの原点
兵庫県知事斎藤元彦に対し、日本維新の会が辞職要求を突きつけた。2021年の県知事選で斎藤を推薦した維新は、これまで静観を貫いてきたが、批判の高まりで方針転換を余儀なくされた。
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維新が態度を翻した理由は、大阪府箕面市長選で維新が公認した現職首長が破れたからだろう。要するに、追い詰められただけ。
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斎藤の立ち居振る舞いに維新スピリッツの原点を見た。私は、当時大阪府知事だった橋下徹が、自分に批判的な大阪市の労働組合に対し、「政治活動に公務員が首をつっこんでくるのはおかしい。負けたときは一族郎党どうなるか。われわれが勝ったときには覚悟しとけよ」と発言したのを思い出した。
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選挙で負け続ける維新。ではこの先、消滅に向けて進んでいくのか。あまり甘く見ないほうがいい。大阪ではカジノを含む統合型リゾート施設(IR)の開業がほぼ確実となった。維新の黒幕のうちのひとりである菅義偉は、総裁選で小泉進次郎を担ぎ上げている。
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維新のバックには政商の竹中平蔵もいる。新自由主義的な政策により日本を解体し、構造改革利権にむらがる連中のさらにその下請け、鉄砲玉が維新である。馬場伸幸は、自民と維新の関係について「第一自民党と第二自民党でいい」と言い放ったが、まさに維新は第二自民党である。自民がダメだから維新に投票するというのは愚の骨頂。
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日本の貧困と格差を拡大させた政商の竹中は、2012年、維新の最高顧問格とされる衆院選の候補者選定委員長に就任。橋下はネット番組で「基本的には竹中さんの価値感、哲学と僕らの価値感、哲学はまったく一緒」と述べている。竹中はその後、総務相時代の部下である菅の政権で、成長戦略会議のメンバーに選ばれ、岸田政権でも「デジタル田園都市国家構想実現会議」のメンバーになっている。20年近く前の小泉政権から日本を食い物にしてきた男が、今もまだ国の中枢に居座り続けている。
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絶望的に古い体質・日本の闇を引き継いでいるのが維新である。IR、カジノ、万博、「都構想」の裏にいるのもこうした連中だ。万博は大阪府・市の特別顧問をしていた堺屋太一と橋下が寿司屋で酒を飲んでいるときに、堺屋が言い出したという。要するに、酔っ払いの与太。それを進めるために松井と橋下が安倍に酒を飲ませて、「気持ち良く」させ、密室で決めた。
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「大阪都構想」と称する大阪市解体を巡る住民投票の糸を引いていたのも菅。菅は「大都市問題に関する検討プロジェクトチーム」の座長を務め、東京都以外の大都市が特別区を設置できるようにする大都市地域特別区設置法の成立を推進していた。また、官邸は維新を応援するため、住民投票に反対していた大阪府連に嫌がらせを繰り返した。


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