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あれ?「アイスコーヒー」って日本の飲み物なの!?

どこから見ても海外生まれ!? 驚きの日本発メジャーフードとは

 

 昔から日本人は、人まねがうまく世界でも器用な民族といわれてきた。海外の文化を、自分たちの社会に取り込むことにかけては、類まれなる才能を発揮しているのだ。こうした特徴は、広く食文化のなかにも浸透している。ここでは、外国生まれのようで日本発の食べ物を紹介していく。

 

 パスタとはそもそもイタリア発祥の小麦を主材料とした麺で、日本でもさまざまな種類が人気を集めている。そのなかでも「ナポリタン」が日本生まれとは驚きだろう。名前からしていかにもイタリアンなこのパスタだが、その起源は戦後、アメリカから入ってきたヌードルにあった。戦後の日本はGHQの輸入制限のせいもあって、西洋からの物資や文化は進駐軍からによるものだった。

 その結果、彼らが持ち込むものが市中に広がるのだが、そのときにケチャップを使ったアメリカ風のパスタが普及した。ところがケチャップで味付けをしただけで具のないこの料理を見たひとりのシェフが、考案したのがナポリタンのルーツといわれている。

 横浜のホテルニューグランド第4代総料理長だった高橋氏が、生トマト、タマネギ、ピーマンとハムを入れたスパゲッティを考案したのだ。バブル期前、どこの喫茶店でもよく見かけた「ナポリタン」は、こうして日本で生まれたのだ。

 

 さて、驚きの日本生まれといえば、もうひとつ「アイスコーヒー」を外すことはできないだろう。遡ること大正時代、コーヒーを冷やして飲む「アイスコーヒー」はその産声をあげたという。そもそも海外では火を通さない飲み物は、衛生上考えられないことだったようだ。ところが日本では昔から、たとえばスイカを冷やしたり井戸水をそのまま飲んだりすることは当たり前。熱いコーヒーを夏に飲むなら冷たくして、となるのはごく自然のことだったに違いない。今では「アイスコーヒー」用の豆も売られているが、やはり海外では受け入れられていないようだ。たとえばヨーロッパでは、「アイスコーヒー」と注文しても通じず、ホットコーヒーと氷の入った空のグラスが運ばれてくるとか。

 さすがにこれだけ国際交流が深まった時代なので、提供してくれる店もあるのだろうが、こうしたエピソードになるほど「アイスコーヒー」とは彼らにとって異文化なのだろう。

 

 文化の違いはあれど、美味しいものは美味しい。たとえ海外の文化を日本風にアレンジしたものだとしても、今では立派な人気メニューとして成立している。我々日本人が異文化を受け入れて自分たち風にアレンジした結果、新しい美味しいものが生まれたのであれば、海外諸国もまた、それを拒むのではなく受け入れる柔軟さを持ち合わせてもらいたいものだ。

 

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