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田原総一朗 「新聞の社説は、人間が書くよりもAIのほうがはるかに良くなってくるかもしれない」

田原総一朗さん30日毎日連載 Q15.AIはどこまで発展すると思いますか?

『変貌する自民党の正体』(ベスト新書)を上梓。常に第一線のジャーナリストとして活躍したきた田原総一朗氏に話を聞いた。

 Q15.AIはどこまで発展すると思いますか?

 

 世界最強と言われる囲碁の棋士に勝ち越したり、日経「星新一賞」でAIに書かせた小説が審査を通過したりと、何かと話題が多い。もともと、故星新一さんは、関連のない単語なんかをいくつか組み合わせて、彼の得意なショートショートのストーリー構想を練っていたらしいんです。そこで、なんでも1000を超える星さんの小説をデータにしてコンピュータにインプット。大まかな物語の展開、主人公の名前や設定、オチは人間が与えてあげて、AIが様々な組み合わせで文章化して、創作してアウトプットしたらしい。
 こうなってくると、僕は、例えば新聞の社説なんて、人間よりもAIのほうがはるかに良くなってくると思いますよ。
 そうすると、さっき言ったみたいに作家や編集者、書き手、つまり記者やライターなんて職業はなくなると思うでしょう。ところが違う。AIにはできない決定的な部分が大切になってくる。人間は、時間が経つと物事を忘れてしまったり、記憶が曖昧になってしまう。でも、コンピュータにデータとして入力しておけば、それがない。それに思違いも起こらない。
 ところが、例えば原発だけど、反原発で行くのか、推進の意見で行くのか。辺野古の問題だって、移設するべきか、やめるべきかの大筋を人間が与えてやらないといけない。そこさえ間違わなければ、立派な論文が書けるようになると思う。
 今、人工知能で一番大変なことになりそうなのが、公認会計士だよ。会社の売り上げや人件費、それに経費や税率などは、決まっているでしょ。数字だから曖昧な部分がない。だから、人工知能、AIが判断しやすいんだ。じゃあ、仕事がなくなった彼らはどうするか。だんだんコンサルタント的な仕事に入っていくだろうね。他の分野でも同じようになっていくはずです。
 シンギュラリティという言葉がある。日本語では「技術的特異点」と言われているんだけど、AIが増幅的に発展するとより強力な知性が想像されて、人間の能力が及ばなくなるという仮説です。僕が取材をしていると、どうやら学者の間では2045年間でにそれが可能になるんじゃないかと予測している。技術的なイノベーションはそこまで来ているんだ。日本は、AIの分野では先頭の方を走ってはいるけど、それを活用する波に乗り遅れてはいけないんです。

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明日の第十六回の質問は「AIの発達やイノベーションによって、日本はどう変わるのでしょう?」です。

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田原 総一朗

たはら そういちろう

ジャーナリスト。1934年滋賀県生まれ。60年早稲田大学文学部卒業。同年岩波映画製作所入所。64年東京12チャンネル(現テレビ東京)に開局とともに入社。『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)、『激論!クロスファイア』(BS朝日)の司会をはじめ、テレビ・ラジオの出演多数。著書に『日本の戦争』(小学館)、『塀の上を走れ 田原総一朗自伝』講談社)、『安倍政権への遺言 首相、これだけはいいたい 』(朝日新聞出版)など多数の著書がある。


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