大阪・関西万博、破滅に向けてのカウントダウン 果てしなく続く維新不祥事の回廊【適菜収】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

BEST TiMES(ベストタイムズ) | KKベストセラーズ

大阪・関西万博、破滅に向けてのカウントダウン 果てしなく続く維新不祥事の回廊【適菜収】

【隔週連載】だから何度も言ったのに 第58回

 

■アジアで凋落する日本

 

 Amazon Prime Videoで『私の夫と結婚して』という韓国ドラマと『テセウスの船』という日本ドラマを見た。両方とも主人公が過去に戻り、未来を変えようとするよくある話だが、日本ドラマのほうはツッコミどころが多すぎて、途中から見るのが苦痛になってきた。過去に戻るというありえない設定なのだから、ストーリーの矛盾はいくらでも修正できそうなものなのに、最初からそれを放棄してるような感じもある。中盤からは、よくもこんなひどいドラマを作って、地上波で流したなと、今の日本が心配になった。俳優さんたちの演技は素晴らしいので気の毒。一方、韓国ドラマは矛盾も少なく面白く見ることができた。日本の凋落は、こういうところにも現れるのかもしれない。他の日本ドラマやアジアのドラマを比較してもそう思う。

    *

 先日、取材を兼ねて11日間台湾に行ってきた。最近、アジアに行くことが多いが、そこで現在の日本の状況について考えることは多い。昔は台湾は物価が安い国と感じたが、今は日本と同じくらいか、ものにより高いくらいである。スーパーマーケットでは、牛乳が1リットル450円、キムチが1パック900円くらいか。

    *

 今回は台湾中部の台南、嘉義にも行った。2月とはいえ、少し暑いくらい。基本は飲み歩いているだけだが、台湾で必ず食べたいのが、台湾料理の老舗欣葉(シンイエ)の蒜香醃蜆仔(しじみのニンニク醤油漬)。いくつかの柑橘系の香りがあり、レアで高貴な味。欣葉は数店舗あるが、なかなか予約が取りにくい。台北に到着した日、なんとか本店に入ることができたが、しじみは品切れ。その後、リベンジで中山駅近くの新光三越にある欣葉南西店へ行ったが、そこでもなかった。旧正月と時期が重なったことと関係があるのかはわからないが。

    *

 台湾は飲食店が閉まるのが早すぎる。もちろん例外もあるが、多くの店は夜10時くらいには閉まってしまう。一度、夜に行く場所がなくなり、宿の近くの吉野家で牛丼を食べたことがあるが、まずすぎる。日本の吉野家の牛丼とは別物。

    *

「台湾ではなにを食べても美味しい」と言う人がよくいるが、もちろんそんなことはない。そんな天国みたいな国が地上に存在するわけはない。日本と同じように、本当に美味しい店はごくわずかである。中華料理でも場所によってはあまりレベルが高くない。夜市もあちこちにあるが、外国人がふらふら歩いて、いい店にあたる可能性は少ない。

    *

 永康街の鼎泰豊本店に四半世紀ぶりに行った。見た目はきれいだが、予想以上に美味しくない。そもそも熱くないので論外。昨年、高雄にある鼎泰豊にも行ったが、そこも小籠包はダメだった。私は台湾の小籠包を20ヵ所くらいで食べたが、総じてレベルは高くない。台北には京鼎樓の支店もあるが、東京恵比寿にある京鼎樓本店のほうが上。

    *

 台湾の悪口を言っているのではない。よいところもダメなところも含め、フェアに比較したほうがいいということだ。近隣諸国蔑視と日本スゴイ論で食いつなごうとする低レベルの言論乞食もいまだに存在するが、思考停止したままでは、日本の本当の「強み」に気づくこともないだろう。

 

文:適菜収

KEYWORDS:

✳︎KKベストセラーズ  適菜収の好評最新刊✳︎

日本をダメにした 新B層の研究

✳︎

全国書店、Amazonで絶賛発売中

以下のカバー画像をクリックするとAmazonページにジャンプします

  • 目次

はじめに−−「B層」とは何か?

✳︎

第一章 内田樹と『日本辺境論』

辺境と偏狭

プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神

B層グルメと某評論家

B層という言葉が出てきた経緯

なぜ日本はこんなことになってしまったのか

ルース・ベネディクトの『菊と刀』

安倍晋三の行動原理

学問のブレイクスルー

マイケル・ポランニーと暗黙知

百人一首を暗記する意味

「型」を知るということの贅沢

 ✳︎

第二章 自立を拒絶する人たち

白井聡の『永続敗戦論』

終戦記念日という欺瞞

冗談は櫻井よしこさん

「サヨク」と「保守」の自己欺瞞

「主権の欲求不満」の解消

 ✳︎

第三章 「正義」を笠に着る人たち

ウクライナ首都の名称変更は「正義」なのか?

「人間は見たいものしか見ない」

社会的リンチというB層の「正義」

人種問題における「正義」の暴走

「ルッキズム」批判は「正義」なのか?

言葉狩りは「正義」なのか?

若年層に選挙権を与えるのは「正義」なのか?

山本太郎と「正義感」について

 ✳︎

第四章 陰謀論に走る人たち 

「無知の知」と「無恥の恥」

不道徳としか言えない果物屋

「維新に殺される」

新型コロナは「バカ発見器」でもあった

ひっくり返って駄々をこねる老人たち

Yahoo!ニュースのコメント欄

知識はあるけど教養がないバカ

デマは言論の自由にあらず

社会の変化は元には戻らない

99%の人が知らない話

✳︎ 

第五章 無責任な人たち

安倍の次は維新に騙されるB層

メディアの劣化が止まらない

大阪都構想のデマと事実隠蔽

総選挙で湧いてきたB層

✳︎ 

第六章 恥知らずな人たち

飼い犬の遠吠え

安倍晋三の本質を映し出す一枚

ツッコミ待ち政治家だらけの国

日本の崩壊に気づいていないB層

日本最大の権力者は「改革バカ」

「ジューシー」発言は外部の拒絶

悪意なく嘘を重ねる人々

カルト化した自民党広報本部

百田尚樹の「歴史改ざんファンタジー」

日本人は悪に屈したネトウヨ用語を使い騒ぎ出した元首相

✳︎ 

おわりに−−人間は過去を忘れ野蛮は繰り返される

 ※上のカバー画像をクリックすればAmazonページにジャンプします

オススメ記事

適菜 収

てきな おさむ

1975年山梨県生まれ。作家。ニーチェの代表作『アンチクリスト』を現代語にした『キリスト教は邪教です!』、『ゲーテの警告 日本を滅ぼす「B層」の正体』、『ニーチェの警鐘 日本を蝕む「B層」の害毒』、『ミシマの警告 保守を偽装するB層の害毒』、『小林秀雄の警告 近代はなぜ暴走したのか?」(以上、講談社+α新書)、呉智英との共著『愚民文明の暴走』(講談社)、中野剛志との共著『思想の免疫力 賢者はいかにして危機を乗り越えたか』、『遅読術』、『安倍でもわかる政治思想入門』、『日本をダメにした新B層の研究』(KKベストセラーズ)、『ニッポンを蝕む全体主義』『安倍晋三の正体』(祥伝社新書)など著書50冊以上。「適菜収のメールマガジン」も好評。https://foomii.com/00171

 

この著者の記事一覧

RELATED BOOKS -関連書籍-

維新観察記 - 彼らは第三の選択肢なのか - (ワニブックスPLUS新書)
維新観察記 - 彼らは第三の選択肢なのか - (ワニブックスPLUS新書)
  • 適菜 収
  • 2024.02.08
日本人は豚になる: 三島由紀夫の予言
日本人は豚になる: 三島由紀夫の予言
  • 適菜 収
  • 2020.11.05
思想の免疫力: 賢者はいかにして危機を乗り越えたか
思想の免疫力: 賢者はいかにして危機を乗り越えたか
  • 中野剛志
  • 2021.08.12