子どもは学びの「達人」である。その子の才能を引き出すために親や教師が肝に銘じておくべきこと【西岡正樹】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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子どもは学びの「達人」である。その子の才能を引き出すために親や教師が肝に銘じておくべきこと【西岡正樹】

子どもの成長とは何か? 教育の真髄がここにある

イメージ写真:PIXTA

 

 ◾️子どもの才能はどうやって引き出されるのか?

 

 東京都の、とある教育委員会の学級経営部会で話をすることになり、自分の実践記録(学級通信、作文集、子どもからの手紙など)を読みなおしていた(202310月)。すると、その中に、5年前にもらった手紙を見つけた。

 

 「教室物語」(※学級通信)を読ませてもらいました。なんだか、読んでいたら去年の事を思い出しました。去年自分は4年4組で西岡先生のクラスでした。

 4年になったばかりの自分は、文章も今のように書くことはできませんでした。なぜ今のように書けるようになったかというと、お話ノートで文章を書き、直さなければならないことを先生にしっかり直してもらい、1年間文章を書き続けたからです。

 今の3年3組の中にも文章を書くのが苦手な人がいると思います。けれど、苦手なことがあることはいい事です。それは苦手なことを得意にできるからです。自分も西岡先生のおかげで、文章を書くこと以外にも苦手なことを得意にすることができました。

 「教室物語」を読んでいるとまだうまく書けていない人がいました。けれど、その中にも段落ごとに書けている人もいました。苦手な人にも、うまく書ける人にも才能はあります。その才能を出せるか出せないかで決まります。

 才能を出すには、自分の力だけでは出せません。人の力を借りることで、自分の中のすべての才能を出すことができます。人の力を借りることは、はずかしいことではありません。人の力を借りずに苦手なまま失敗し続ける方がはずかしいです。

 人には何個も苦手なことがあります。苦手なことを得意にすることが大切です。だから、苦手なことでも自信を持ってやり続け、仲間の良いところをみんながまねをしてみれば、どんなことでもうまくなれます。がんばってください。

 西岡先生、ありがとうございました。

 

望(仮名)の兄より

 

 この手紙を受け取った時、私は望の担任だった。望の兄である悟(仮名)も4年生の時に担任していたのだが、6年生になった悟は、弟のクラスの学級通信「教室物語」を読み、4年生の自分を思い浮かべ懐かしく思ったのだろう。そして、自分が卒業する年でもあり、「教室物語」を読んだ感想も兼ねて、33組の子どもたちと私に手紙を書いてくれたのだ。

 お兄ちゃん目線で弟たちに語りかける悟の言葉には、確かな自信が滲みでている。しかし、4年生の悟を思い浮かべても、最初に浮かんでくる姿は自信なさげに話す悟の姿ばかりだ。4年生に進級した当初の悟は、運動神経が良く運動大好き少年だったが、話すことや書くことは苦手だった。その悟がこのような手紙を書いてくれたことに、私は驚き、子どもの凄さをあらためて感じた。

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西岡正樹

にしおか まさき

小学校教師

1976年立教大学卒、1977年玉川大学通信教育過程修了。1977年より2001年3月まで24年間、茅ヶ崎市内の小学校に教諭として勤務。退職後、2001年から世界バイク旅を始める。現在まで、世界65カ国約16万km走破。また、2022年3月まで国内滞在時、臨時教員として茅ヶ崎市内公立小学校に勤務する。
「旅を終えるといつも感じることは、自分がいかに逞しくないか、ということ。そして、いかに日常が大切か、ということだ。旅は教師としての自分も成長させていることを、実践を通して感じている」。
著書に『世界は僕の教室』(ノベル倶楽部)がある。

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