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ジャニー喜多川の性加害問題で露わに アイドルはみな「少年」という性別だ【梁木みのり】

元ジャニーズJr.の岡本カウアンが「性的行為受けた」と証言(2023年4月12日)

 

 

◾️ジャニー氏の性癖を無くしては日本のアイドルは語れない

 

 故・ジャニー喜多川氏の性加害問題で、世間の話題が持ちきりだ。もっとも、ジャニー氏の性愛の対象が主に10代の少年たちであったことはそこそこのジャニーズファンの間では常識であったし、タレントに直接性的な行為が及んでいたという噂もまあまあ知られていた。

  性犯罪は許されるものではないが、私が今回述べたいのは問題の糾弾あるいは擁護ではない。日本を席巻するアイドルを作り上げるのに、ジャニー氏の性癖がたいへん適していたということを指摘したい。この性癖なしではジャニーズはここまで栄えなかっただろう。実際に性加害をしてしまう衝動を抑えられる理性があれば、もっとよかったかもしれないが。

  ジャニーズは一般的には「男性アイドル」だが、ジャニー氏の性癖を踏まえれば正確には「少年アイドル」だ。たいていローティーンのうちに入所して、うまくいけば10代のうちにデビューする。外見も、低身長に童顔の可愛らしい人が多い。成長して体格が大きくなるメンバーもいるが、ジャニー氏の興味はKinKi Kidsのような特別枠を除けばジャニーズJr.に限られ、晩年までJr.につきっきりだった。

  女性ファンの多くが、ジャニーズアイドルに「かっこよさ」だけでなく「可愛さ」を求めている。それは中性的な可愛さというよりは、子どものような無邪気さに近い。メンバー同士でふざけ合っているのを見るのがジャニーズファンの至上の喜びの一つだ。そのふざけ合いを指す「わちゃわちゃ」という言葉まである。一般職の成人男性ならまず公に見せないような姿だ。

  その子どものような可愛さが、アイドルには不可欠だ。アイドルは全ての大衆にとって身近でなければいけない。見る者に親しみを覚えさせ、「慎吾ちゃん」「ニノ」というように、まるで友達かのようなあだ名で呼ばせる。かっこよさを見せて憧れさせるだけでは、スターにはなれてもアイドルにはなれない。

  子どもにとって大人は遠い存在だが、全ての大人は子ども時代を経験している。子どもとは、全ての大衆にとって身に覚えのある、身近な存在だ。だから、子どもの要素を持っている人はどんな人にも身近に感じてもらえる。もしジャニー氏の性的嗜好が成人に向かっていたら、ジャニーズアイドルはここまでの支持を集めなかっただろう。

  少年は性的にも未分化だ。男性と女性とがはっきり分かれる前の、性なき子ども、あえて言うならば「少年性」という存在。アイドルは、見る者の性を未分化だった時代に戻す。アイドルグループが基本的に片方の性別のみで構成されるのは、男女がどちらもいる場では人は否応なく成熟させられ、大人にならなくてはいけなくなるからだ(だからアイドルが演じるラブシーンはファンに非難される)。

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梁木みのり

はりき みのり

ジェイ・キャスト所属ライター

ライター

Z世代。ジャニヲタ歴12年。K-POPオタク歴まだ2年。ジェイ・キャスト所属ライター。早稲田大学卒。

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