言葉を軽視し、国家を破壊した安倍政権   中国の属国になる日は近い!?【池田清彦×適菜収】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

BEST TiMES(ベストタイムズ) | KKベストセラーズ

言葉を軽視し、国家を破壊した安倍政権   中国の属国になる日は近い!?【池田清彦×適菜収】

【隔週連載】だから何度も言ったのに 第46回 :『安倍晋三の正体』をめぐって(対談後編)【池田清彦×適菜収】

池田清彦
1947年、東京都生まれ。生物学者、評論家、理学博士。山梨大学教育人間科学部教授、早稲田大学国際教養学部教授を経て、山梨大学名誉教授、早稲田大学名誉教授、TAKAO 599 MUSEUM名誉館長。『構造主義進化論入門』(講談社学術文庫)、『環境問題のウソ』(筑摩書房)、『「現代優生学」の脅威』(インターナショナル新書)、『本当のことを言ってはいけない』(KADOKAWA)、『SDGsの大嘘』(ともに宝島社)など著書多数。メルマガ「池田清彦のやせ我慢日記」、VoicyとYouTubeで「池田清彦の森羅万象」を配信中。

 

■昔の自民党と今の自民党は別物

 

適菜:自民党がここまでおかしくなった原因は、やはり1994年の小選挙区比例代表並立制の導入と政治資金規正法の改正にあると思います。小選挙区制度は、二大政党制に近づきます。死票は増え、小さな政党には不利に働く。そこでは基本的に上位二政党の戦いになります。政治家個人の資質より党のイメージ戦略が重要になるので、ポピュリズムが政界を汚染するようになる。また、党中央にカネが集まるようになったので、権力が集中した。結果、党内における活発な議論や合意形成、派閥抗争がなくなっていき、党の中央だけでいろんなことを決めてしまうようになってきた。その方針に逆らえば、小泉政権のときのように刺客を送られたり、公認をもらえなくなる。自民党の中にいた少数の保守勢力も追放されましたね。そういう形で自民党はどんどんカルト化していきました。

 

池田:国民も小選挙区制になれば、政権交代で日本がよくなるというデマに騙された。あれにより、ほんのわずか右にふれたら右、左にふれたら左みたいな話になってしまった。小選挙区制は、日本の政治風土を破壊した最悪な改革だったね。小泉純一郎も人を騙すのがうまかった。構造改革、郵政民営化でよくなったことは一つもない。

 

適菜:一番悪いのは小沢一郎だと思います。小沢は安倍政権批判をしていて、そこは同意できる部分もあるのですが、根本を辿っていくと、小沢とその取り巻きによる新自由主義的な発想が、安倍政権に行き着いているのです。結局、小沢の自民党破壊、政治制度改革を含む「日本改造計画」が、いまだに日本社会を蝕んでいる。細川護熙の裏にいたのも小沢ですからね。

 

池田:小選挙区制と世襲議員が増えたのはパラレルになっている。昔の議員は池田勇人にしても京大を出て、大蔵省の次官になって、首相になるというコースがあったわけだけど、それが完全に崩れた。今はできそこないのボンボンが首相になる。

 

適菜:先生はテレビでも安倍批判をされていたんですね。

 

池田:結構している。でも批判してもあまり放映されないんだよ。生放送ではないからカットされてしまう。自民党の支配が続いたのは、大手メディアを優遇して自分たちの悪口を言えないようにしたのが大きい。NHKからして根本的なことは言えなくなった。

 

適菜:私も朝のラジオ番組で毎回安倍を批判していたら、お呼びがかからなくなりました。

 

池田:本とか講演とか他に稼ぐ手段がある人は政権を批判できるけど、テレビだけで仕事をしているタレントさんだと言えない。大手メディアでは政権批判すると干される構図になっていた。

 

適菜:逆に安倍を礼讃するとカネになる時代が続きました。自称保守向け月刊誌に安倍が登場した回数を見れば、その異常さがわかります。安倍の取り巻き連中も、おとなしくなるどころか暴走しています。元NHKの岩田明子は安倍は「光の人」であり、安倍がいると雨が降らなくなると言い出した。ここまでくるとカルト信者ですね。

 

池田:病気だよ。安倍が統一教会と仲がいいのもわかる。

 

適菜:エリック・ホッファーがベルクソンの言葉を引用していましたが、「信仰の強さは山を動かすことによって示されるのではなく、たとえ山が動いたとしてもそれを見ないことによって示される」と。まさにこれですね。安倍と統一教会の深い関係が次々と明らかになっても、信者はそれを無視することにより、ますます深い迷妄の中に落ちていく。世間だって、安倍の悪事をすぐに忘れてしまう。

次のページ国家という前提がなかった安倍政権

KEYWORDS:

✴︎適菜収の最新刊『安倍晋三の正体』(祥伝社新書)が絶賛発売中✴︎

※上のカバー画像をクリックするとAmazonページに飛びます

オススメ記事

適菜 収

てきな おさむ

1975年山梨県生まれ。作家。ニーチェの代表作『アンチクリスト』を現代語にした『キリスト教は邪教です!』、『ゲーテの警告 日本を滅ぼす「B層」の正体』、『ニーチェの警鐘 日本を蝕む「B層」の害毒』、『ミシマの警告 保守を偽装するB層の害毒』、『小林秀雄の警告 近代はなぜ暴走したのか?」(以上、講談社+α新書)、呉智英との共著『愚民文明の暴走』(講談社)、中野剛志との共著『思想の免疫力 賢者はいかにして危機を乗り越えたか』、『遅読術』、『安倍でもわかる政治思想入門』、『日本をダメにした新B層の研究』(KKベストセラーズ)、『ニッポンを蝕む全体主義』『安倍晋三の正体』(祥伝社新書)など著書50冊以上。「適菜収のメールマガジン」も好評。https://foomii.com/00171

 

この著者の記事一覧

RELATED BOOKS -関連書籍-

安倍晋三の正体 (祥伝社新書 682)
安倍晋三の正体 (祥伝社新書 682)
  • 適菜 収
  • 2023.07.03
日本をダメにした新B層の研究
日本をダメにした新B層の研究
  • 適菜収
  • 2022.08.10
日本人は豚になる: 三島由紀夫の予言
日本人は豚になる: 三島由紀夫の予言
  • 適菜 収
  • 2020.11.05