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U-23代表で手に入れた「コントロールする力」――遠藤航

絶好調を続ける浦和レッズにおいて欠かせないピースとなった遠藤航。U-23代表から持ち帰った“手土産”

ACLグループリーグ突破を決め、リーグ戦でも好調を維持する浦和レッズ。そこには、今年加入した新たなディフェンスリーダー・遠藤航の存在が欠かせない。「自信をもってピッチに入れるようになった」と語るまでにあった悔しい過去を振り返る。

余裕を持てるようになったACL

 ACL優勝を目指すなかで、まずは予選突破を決めることができました。チームはとてもいい雰囲気で戦えているし、首位通過という次の目標をしっかりと見据えることができているように思います。
 それにあわせて僕自身も、いまはとても自信を持ってプレーができています。
 最近は、慣れ親しんだスリーバックの右ではなく、真ん中をやらせてもらっていますが、守備における責任が大きいぶん、やりがいもあり、面白いと感じながら試合に臨めていますね。
 いい意味で余裕を持ってプレーできているのだと思いますけど、そういう状況になれたのは、レッズというチームがそうしてくれたこともありますが、U-23日本代表での経験が大きかったのではないかと思っています。

 リオデジャネイロ五輪の出場権をかけた1月のあの戦い。
 2014年から手倉森監督と(U-21)代表でずっとやってきて教えてもらったこと。
 チームメイトとコミュニケーションを取りながら五輪出場権を目指したこと。

 そのなかで、僕はたくさんのことを経験し、自分の糧にすることができました。
 例えば先のACLでは広州恒大と2試合を戦いましたが、アジアナンバーワンチームと対戦するという初めての経験に、いままでにない体の強さや、スピードを感じるシーンもありました。けれど、それに対して焦ったり、慌てたりすることがなかった。
 たとえ相手に流れが行っていても「この時間帯は失点さえしなければいい」とうまく割り切れたし、「ここは我慢するところだよな」と集中を切らすこともありませんでした。勝負どころの見極め、ゲームをコントロールする力がついてきた、そう実感しています。

 これは、U-23日本代表で手倉森監督と一緒に戦ってきたからこそ、学んだこと。そんな気がしています。
 手倉森監督は、試合の状況や時間帯に応じた選択肢を複数提示し、その上で、ピッチにいる選手がどういう判断をしていくのかが大事だ、ということを僕によく話してくださいました。僕にそうした話をしてくれた理由は、U-23日本代表では、湘南ベルマーレやレッズと違うボランチでプレーをしているということもあったと思います。ボランチというポジションは、守備だけではなく攻撃について考えるウェイトも増やさなければならないですし、自分のプレー次第で流れを変えることもできるので、より試合をコントロールする力を求められます。

 そして、このポジションで得た経験こそが、ACLで感じたような、焦ることなく、勝負所の見極めや、いい意味で割り切ってプレーするなど、メリハリのあるプレーにつながったのだと思います。

 
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遠藤 航

えんどう わたる

浦和レッズ

1993年2月9日生まれ。神奈川県横浜市出身。

2008年に湘南ベルマーレユースへ加入すると、2010年には2種登録選手としてJ1で6試合に出場し1得点。翌年に、正式にトップチームへ昇格、主にセンターバックとして活躍する。各年代の日本代表にも招集され、リオ五輪を目指すU-23代表では主将を務め、リオ五輪代表出場権を勝ち取った。2016年シーズンより浦和レッズに移籍。



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