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U-23代表で手に入れた「コントロールする力」――遠藤航

絶好調を続ける浦和レッズにおいて欠かせないピースとなった遠藤航。U-23代表から持ち帰った“手土産”

焦ってしまった「過去」

 こうしたゲームをコントロールする力というのはそれまであまり意識できていない部分でした。
 湘南時代は、チームのプレースタイル的にゲームをコントロールするというよりは、ディフェンダーであっても行けると思えば積極的に攻撃参加をしていくという、つねにアグレッシブなスタイルをとっていましたし、過去に遡ってU-19日本代表のころは、少し押し込まれる時間が長くなったり、失点したりすると「やばいな」と焦ってしまうようなところがありました。
 今思えば、キャプテンとしてもっとチームを鼓舞し、周りに声を掛けるべき存在でなければいけなかったのに、自分のことでいっぱいいっぱいになってしまったのです。

 かつての僕は、試合中に劣勢に立たされるとどうしても“言い訳”を探してしまうところがありました。U-19日本代表でも「ここまでよくやったよな」とか「まあ、こんなものかもしれない」とか、“負けたときのことを想定して”、予防線を張るようなところがあったのです。後悔するのはいつも試合の後。キャプテンを務めたU-19日本代表のときは、イラク代表に1対2で敗戦をし、ワールドユースへの道が断たれたわけですが、試合終了のホイッスルが鳴った瞬間に、「なんであのとき、もっと気持ちを強くもてなかったのだろう」と悔やみました。

 ゲームをコントロールするどころか、自分のことで精一杯だったわけです。でも一方で、そうした悔しい経験をしたことが、いまにつながっていることも実感しています。

 もうアジアで負けたくない、この悔しさを生かさなくてはいけない。そういう思いが沸々と湧いてきたのです。

 U-23日本代表では、チームメイトと積極的にコミュニケーションをはかり、一体感を作り出したいという思いがありました。いまだから言えることですが、U-19日本代表のころは、そうした一体感がありませんでした。メンバーは自分が所属するチームメイト同士で固まってしまって、深い話ができなかったのです。特に、久保(裕也)や拓(岩波)たちと腹を割って話せることはほとんどなかったように思います。

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遠藤 航

えんどう わたる

浦和レッズ

1993年2月9日生まれ。神奈川県横浜市出身。

2008年に湘南ベルマーレユースへ加入すると、2010年には2種登録選手としてJ1で6試合に出場し1得点。翌年に、正式にトップチームへ昇格、主にセンターバックとして活躍する。各年代の日本代表にも招集され、リオ五輪を目指すU-23代表では主将を務め、リオ五輪代表出場権を勝ち取った。2016年シーズンより浦和レッズに移籍。



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