「少年時代に好きだったゲームは?」古市憲寿さんに聞く!(24) |BEST TiMES(ベストタイムズ)

BEST TiMES(ベストタイムズ) | KKベストセラーズ

「少年時代に好きだったゲームは?」古市憲寿さんに聞く!(24)

代償行為としてのゲームを必要としなくなった

2016年は「ポケットモンスター」シリーズ誕生の20周年、「ドラゴンクエスト」シリーズの30周年。古市少年が当時、ハマっていたテレビゲームについて伺いました!

ゲームの世界では必ず努力が報われる

 小学校高学年くらいが人生の中で一番ゲームをしていました。ちょうど1994年の11月にセガサターンが発売されて、1995年のお正月に買ったことを覚えています。特によく遊んだのが『クロックワークナイト』『真説・夢見館』『デイトナUSA』『バーチャファイター2』……。

 

 ジャンル関係なく、いろんなゲームにハマってました。本もそうなのですが、両親は僕が欲しいと言ったものは基本的に買ってくれていたので、月に2本くらい新しいゲームをしていた気がします。その後に出たプレイステーションもすぐに買って『ジャンピングフラッシュ』『MOON』あたりには何十時間使ったのかわかりません。

 この時期のことを思うと不思議に感じるのですが、最近は全然ゲームをやらなくなってしまったんですよ。もちろん今でもゲームは大好きだし、WiiUとかプレイステーション4とか、新しいハードも一通りそろえているんです。人から面白いよって勧められたゲームは買うようにしていますし、自分でも気になったソフトはたくさん買うんですけど……やってみると、30分くらいで飽きちゃう(笑)。ここ5年くらいで、買ってから二回以上プレイしたゲームは『鉄拳6』くらいだったかな(笑)。

 あらためて「なんで自分はこんなにゲームをしなくなったんだろう?」って考えてみたんですが、「今の僕がこの現実社会でそこそこ報われている」からかな……という結論に至りました。
 ゲームは一言で言えば、「裏切らない世界」だと思います。アクションゲームはやればやるほどうまくなりますし、RPGゲームも敵を倒して経験値を積めば必ずレベルが上がります。ゲームって、そこにかけた時間とか努力が絶対に報われるシステムになっているんですよね。

 けれども、現実の社会はそうではない。いくら頑張ったところで空回りすることはあるし、どれだけ訓練を積んでも、誰もが同じように上達するとは限らない。昔の僕は「努力が報われる」感じを、どこかでゲームに求めていたのかなと思います。今の僕は、現実でそれなりに自分の努力が報われている実感があるんですよね。だから、「報われる」ことの代替行為としてのゲームが、あまり必要なくなったのかもしれません。

 

明日の第二十五回の質問は「Q25.どんなことにお金を使いますか?」です!

オススメ記事

古市 憲寿

ふるいち のりとし

1985年東京都生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程在籍。慶應義塾大学SFC研究所上席所員。株式会社ぽえち代表取締役。朝日新聞信頼回復と再生のための委員会外部委員、内閣官房「クールジャパン推進委員」メンバーなどを務める。日本学術振興会「育志賞」受賞。著書に『希望難民ご一行様』(光文社新書)、『絶望の国の幸福な若者たち』(講談社)、『だから日本はズレている』(新潮新書)などがある。

Twitter: @poe1985


この著者の記事一覧