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「急に友達ができるようになった理由とは?」古市憲寿さんに聞く!(21)

仕事を通じてこそ、深い人間関係が生まれる

学生時代は損得を抜きにして人と付き合うことができるから、学生までの友達は大切だ……とはよく言われるフレーズ。そんな常識を大きく覆す、古市さんの「友達」の定義とは?

今でも友達はいらないかもしれない

 高校までも友達はいましたけど、大学になって世界が一気に広がった気がします。

大人になれば友達は自由に選べるのに、学校ではクラスの中でしか友達を選べない……そんな「閉鎖的な人間関係」への違和感は一貫している。

 小学校から高校までの間は、ただ無作為に集められた、年齢と生まれた場所以外、さして共通点のない40人が学級という狭い世界で過ごすわけですよね。毎日顔を合わせるからと言って、無理して仲良くなろうとする空気も嫌でした。だから僕は友達なんていらないと思っていたし、実際に高校まではあまり作らなかったんです。

 ただ、大学に入ってからは、周りの人たちはみんな何かしらの専門性を持っているので、自然と友達になりたいと思える人が多くなりました。同じSFC(慶應義塾大学の湘南藤沢キャンパス)を選んだからなのか、好みや考え方もお互い自然に受け入れられる。だから、いろんな人と付き合っていけるんだと思います。

 よく「利害関係のない、高校のころの友達が本当の友達だ」という言い方をする人がいますけど、僕は逆じゃないかなと感じるんです。僕にとって心から友達と呼べる存在は、仕事を始めてからできた気がしています。仕事を介して付き合うからこそ、その人の実績や専門性、人間性が見えてくるから、自然と深い付き合いになっていきます。

 一方で、まったく仕事につながらない関係性で、頻繁に会ったり連絡を取り続けたりするのはとても難しい。だから、関係性を持ち続ける上で「お互いの利害が一致していること」は、大切なポイントだと思っています。そういう意味で言うと、僕にとっての「友達」は、友達と言うより「仲間」に近いかな……だから、今でも友達はさして必要としていないのかもしれないですね(笑)。

 僕が「友達」や「仲間」を作る上で、大事にしていることがあります。それは、一人に全てを託さないこと。仕事で話す相手はたくさんいても、どうでもいいことを気兼ねなく話せる相手がいないと、しんどいことってあるじゃないですか。僕の場合は、どうでもいいことを意図的に、いろんな人に話すようにしています。一人に特定のコミュニケーションを依存してしまうと、その人がいなくなった時に、つらいんじゃないかなって。

 僕が「仲良くなりたいな」と思う人は、賢い人や、自分の知らない世界を知っている人がほとんどです。賢さって、肩書きや偏差値とはまったく関係ないから面白いんですよね。
 先日、仕事で行った夕張の観光センターのおばちゃんは、とにかく仕事ができる人。夕張の歴史とか、SLが最後に通った時間まで細かく覚えている。夕張市の内外の人とも広く交流を持っていて、行動力もアイデアもある。「こんなことをしたらいいよ」って、的を射た意見も出せる――あんなにデキるおばちゃん、東京でもなかなか会ったことなかったですよ(笑)。また夕張に行きたいな、あの人に会いたいなって思いました。

 

明日の第二十二回の質問は「Q22.サブカルって好きですか?」です!

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古市 憲寿

ふるいち のりとし

1985年東京都生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程在籍。慶應義塾大学SFC研究所上席所員。株式会社ぽえち代表取締役。朝日新聞信頼回復と再生のための委員会外部委員、内閣官房「クールジャパン推進委員」メンバーなどを務める。日本学術振興会「育志賞」受賞。著書に『希望難民ご一行様』(光文社新書)、『絶望の国の幸福な若者たち』(講談社)、『だから日本はズレている』(新潮新書)などがある。

Twitter: @poe1985


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