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「GoTo」改め「ワクワクイベント」? 政府の言葉遊びの軽さがコロナ人災を伸ばす【松野大介】


「『GoTo』改め『ワクワクイベント』を政府検討 ワクチン接種者に割引適応」というニュースがネット上に出たとたん、コメント数が膨れ上がった(投稿6時間後時点で6000突破)。批判やツッコミが多い。

 コロナ禍になってからテレビの煽り報道からコロナワクチンに関して報道姿勢に警鐘を鳴らす元芸人の作家・松野大介氏が、政府の進歩しない政策をユニークに解説。


 

■同じことを繰り返す日本の政府

 政府は、ワクワクイベントを「ワクチン3回目接種が済んだ人を対象に、コンサートやスポーツ観戦などのイベントに割引を適用する事業」という。

 4月から始まった地域ブロック単位の旅行割引と共に「接種推進」と「経済対策」を結びつけたいという狙いだ。5月にも開始という。

 まず、コロナワクチンは重症化を防ぐと言われている反面、感染を抑制する効力は乏しい(ほぼない)ことがわかっている(新変異株と現在接種されているコロナワクチンとの兼ね合いは精査が必要と思いますが)。

 次に、大きな変異の株が誕生するサイクルで、東京、大阪、沖縄など人出が激しい都道府県から拡大することもわかっている。

 だからマスコミ(主にテレビ報道)が感染者という名の陽性反応者の人数だけを自粛の指標にせず、重症者数・重症率を考慮しなければ、GoToの時のように、略して「ワクワク」または「ワクイベ」「ワク割」(どんな略語になるかわからないが)が叩かれるのは予想される。

 またGoToが感染拡大にどの程度影響があったか検証しないマスコミや評論家の一部が、政府叩きに「ワクワク」を利用したら同じことの繰り返しではないか。ワクワクイベント(またはイベントワクワク割)というふざけたネーミングだからよけい叩かれやすい。

 

■政治のお粗末な経済対策

 振り返ると、政治のコロナ経済対策アイデアは、

・お肉券・お魚券 (2020年春 見送り)

18歳以下に10万円給付 10万円相当の現金とクーポン券 (2021年冬 現金一括の場合の事務経費280億円に比べ、5万円分クーポンだと1247億円かかるとモメる)

 など混乱が見られてきた。

 GoTo事業はGoToトラベル、GoToイート、GoToイベント、GoTo商店街。

 そもそもこれらが経済全体の何パーセントを占めるかと考えると、私は事業に絡んでいる関係者の役得という思惑を疑ってしまう。

 そして最大のツッコミどころは、今回はコロナワクチンが絡んだ経済政策という点だ。

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松野 大介

まつの だいすけ

1964年神奈川県出身。85年に『ライオンのいただきます』でタレントデビュー。その後『夕やけニャンニャン』『ABブラザーズのオールナイトニッポン』等出演多数。95年に文學界新人賞候補になり、同年小説デビュー。著書に『芸人失格』(幻冬舎)『バスルーム』(KKベストセラーズ)『三谷幸喜 創作を語る』(共著/講談社)等多数。沖縄在住。作家、ラジオパーソナリティー、文章講座講師を務める。

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