年金運用機関GPIFが負っている宿命と株式市場への影響度 〜運用収益は絵に描いた餅!?〜 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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年金運用機関GPIFが負っている宿命と株式市場への影響度 〜運用収益は絵に描いた餅!?〜

元野村投信ファンドマネージャーの警鐘・金融資産が消滅する! 第6回

■GPIFが売手に転じた時、市場に与える衝撃度

 しかし、「世界最大の機関投資家」によるアナウンスメント効果は、組入比率を引き上げる局面だけで発揮されるものではありません。逆もまた真なりで、「世界最大の機関投資家」が市場で売手に転じることになった際の逆アナウンスメント効果も世界最大級のものになることを忘れてはならないのです。 

 そして、金融市場の恐ろしい鉄則の一つは、「買う時の流動性はあるが、売るときの流動性はない」ということです。つまり、「世界最大の機関投資家」の買い情報に伴うアナウンスメント効果よりも、「世界最大の機関投資家」の売り情報によるアナウンスメント効果の方が、市場への影響度が大きくなるのが普通なのです。

 GPIFは2001年から2019年3月までの18年間に65・8兆円の収益を上げてきました。そして、この65・8兆円にも及ぶ大きな収益の46・2%に相当する30兆3793億円は基本ポートフォリオ変更を行った2014年度以降の5年間で稼ぎ出したものです。

 さらに、この5年間に獲得した30兆3793億円の収益のうち、国内株式で 37・6%の11兆4100億円の収益を上げており、それは41・2%、12兆5201億円の収益を上げた外国株式に次ぐ規模になっています。つまり、2014年度以降の5年間で稼ぎ出した収益額の78・8%、8割近くは国内株式と外国株式という内外株式で得たものになっているのです。

 2014年10月31日に行った基本ポートフォリオ変更は、GPIFの運用収益拡大に大きな貢献をしてきました。しかし、基本ポートフォリオ変更によって稼いだとされている運用収益も、今後は絵に描いた餅になる可能性を秘めていることには注意が必要なのです。

KEYWORDS:

『202X 金融資産消滅』
著者/近藤駿介

アベノミクスを支えた世界最大の機関投資家GPIFの日本株離れが始まる。
個人の金融資産のメルトダウンをどう乗り切るか!? 

元野村投信のプロ・ファンドマネージャー、現・金融経済評論家、コラムニストの著者がアベノミクス後にやってくる日本経済の危機に警鐘を鳴らす。アベノミクスを日銀とともに支えた世界最大の機関投資家GPIFが、安倍政権退陣後に日本株の売り手に転じることから株価が暴落し、日本人の金融資産や年金が大幅に目減りする。早ければ2020年代前半に始まる日本経済の長期低迷への備えを提案する。著者は東洋経済、ダイヤモンド、ブロゴスへの寄稿や、MXテレビ「WORLD MARKETZ」のレギュラーコメンテーターを務めるなど、さまざまな経済メディアで活躍中です。

【内容】
第1章 作り出されたアベノミクス相場 
第2章 世界最大の機関投資家GPIFとは何だ
第3章 GPIFの運用の問題点 
第4章 早ければ2020年からGPIFは売手に回る? 
第5章 投資の常識は非常識
第6章 「世界最大の売手」が出現する中での資産形成

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