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【現地レポート】新型コロナウイルスはなぜ中国でこれほどまで広まったのか?

ウイルスを巡る中国の現状と感染拡大の原因、そして今後の懸念

 

■発生源・中国では好転の兆しを見せはじめているが…

 武漢から始まった「新型コロナウイルス」は今や全世界へと広がる勢いを見せている。
 事態発生後、早い段階から自国への流入に対する危機感をつのらせていた近隣諸国は言うに及ばず、中国から遠く離れた欧州や地球の裏側に当たる南米まで伝染が拡大するに当たり、WHOによってパンデミック宣言がいつ出されてもおかしくない状況にある。

 中国が初動を誤ったのは多くの海外メディアが指摘している通りだが、欧米諸国とて甘い見通しを持っていたのは、疑いのない事実であるように思える。その一例として挙げられるのがデンマークで、同国の大手メディアでは武漢市で集団感染が起きた際、中国国旗の星をコロナウイルスにあしらった風刺漫画を掲載している。
 それに対して中国では外交部が怒りのコメントを発するほどの騒ぎとなったが、ついにデンマークでも感染者が見つかるに至って中国ネット民は「ざまあみろ」と言わんばかり。第二次大戦時にデンマークはナチスの侵攻を受けて4時間で降伏したことから、「今回のウイルスとの戦いでもデンマークは4時間で崩壊する」という嘲りの声が多数見られたほどだ。風刺画を描いた者も、中国政府の抗議に反論していたデンマーク政府も、これほど早く自国がウイルスに冒されるとは思ってもみなかったに違いない。

 今まさに感染拡大期を迎えている世界に比べると、中国国内の状況は徐々にではあるが好転の兆しを見せている。マスク不足こそ続いているものの、消毒用品などその他のウイルス予防品は目に見えて市中に行き渡り始めている。

かつて援助を受けた国、例えば日本などに対して逆支援を行う動きも起こっており、いずれ「中国が世界の感染抑制に貢献した!」といった報道が中国官製メディアから発されるのも秒読み状態といったところだ。

 でも、そもそもの発生源はアナタですよね? というのが海外諸国の一般的な思いであることは間違いない。また、「なぜこんなことになったのか説明せよ!」といった声が中国国外から上がるのも無理からぬことである。

上海に現れた防護服タクシー(※「微博」より)

 ところが中国はご存知の通り、徹底した秘密主義のお国柄であり、そのうえ報道の自由もなきに等しい。いずれ事態が落ち着いた頃に当局から何かしらの総括発表が行われるだろうが、突き詰めればその真偽を確かめる術はない。
 患者ゼロ号が誰であるか、本当に例の海鮮市場が発生地なのかといったことを現段階で(というかもしかしたら今後も)確証を持って断ずることはできない。とはいえ表に出ている情報や、中国の特性といったところから、どうしてこのような大惨事となったのかを検討することは充分可能だ。
 そのような視点から、ここでは今回の新型コロナウイルスによる肺炎が中国で発生し、感染拡大を招いた要因について論じてみたい。
 

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