急逝した野村克也夫妻や多くの有名人の命を奪った心臓の病。前回記事では「無関係そうな症状ほど危険」とお伝えした。今回も引き続き、心臓血管研究所・所長の山下武志氏による著書『心臓・血管の病気にならない本』(KKベストセラーズ・2/27刊)から、症状の中でも特に注意したい4つのうちの「運動能力の低下」「失神」について解説する。
 

■「数週間前から」「たまに」現れる症状が危険

私たち医師が患者さんの症状をチェックするときには、単にその症状の内容だけではなく、

・いつから症状があるか
・症状はよくなっているのか、悪くなっているのか
・症状はどのくらい続くか

を重視します。

 

 心血管疾患の場合、「〇年前から症状がある」「1日中症状が感じられる」というようなケースの多くは、それほど心配は要りません。

 もし本当に心臓に問題があるならば身体に極めて大きなダメージを与えるため、1年以上も症状が続くことは考えにくいですし、1日中症状が出ているほど重ければ、自力で病院に来るのは難しいと考えられるからです。

 逆に危険なパターンは、

・数カ月〜数週間前から、ときどき症状がある
・だんだん悪くなっている
・症状は一瞬ではなく持続するが、長時間は続かない

 というものです。

 心血管疾患は年単位で悪化するがんとは異なり、もう少し短いスパンで症状が悪化するのが特徴です。また、症状が1日中続かず、数分〜数十分程度で治まるのも特徴です。症状が治まったからといって安心せず、現れるたびに悪化しているようならばすぐに病院に行ってください。

 

■走れなくなったら要注意

 注意して頂きたいもっとも代表的な症状は、「走れなくなる」とか「階段を上がれなくなった」といったものです。すなわち、運動能力の低下です。
いつも上がれていた駅の階段が、急に辛く感じられるようになったら要注意です。心血管に何か異変が起きているかもしれません。

 運動能力の低下は、どんな心血管疾患でも確実に現れる症状です。もし命に係わるような心血管疾患があれば、間違いなく、走ったり階段を上がったりすることが苦しくなるはずです。

 逆に言うと、たまに一瞬、脈が抜けるくらいの症状があったとしても、問題なく走れるケースがあります。それはつまり、差し迫った問題はないということです。

 運動能力の低下を含めた、ご紹介する4つの症状、すなわち「運動能力の低下」「失神」「むくみ」「範囲の広い鈍い胸痛」の原因が心臓にある場合、症状は数時間単位で急激に悪化することがあります。すぐに病院に行ってください。

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