急逝した野村克也夫妻や多くの有名人の命を奪った心臓の病。心血管疾患はがんと並ぶ二大死因で、日本人の2人に1人以上はこれらの病気で命を落としているにもかかわらず、症状ひとつを取っても間違ったイメージが多く正しく理解されていないという。
今回も、心臓血管研究所・所長の山下武志氏による著書『心臓・血管の病気にならない本』(KKベストセラーズ・2/27刊)から見てみよう。あなたも、疑わしい症状がないかぜひチェックしてほしい。
 

■「心臓病っぽくない症状」ほど危ない

簡単なクイズを出します。次に挙げる症状のうち、心血管疾患の可能性が高いのはどれでしょうか?

1、胸の違和感(痛みや鼓動を感じる、など)
2、脈が抜ける
3、息切れ
4、めまい・気が遠くなる
5、体がだるい

多くの方は1を選ぶと思います。このような症状で来院する人はとても多くいます。また、2を選ぶ人も多いでしょう。
逆に、3以降はあまり心臓病とは関係がなさそうです。特に4や5の症状は、そもそも心臓とは無関係だと考える人が多いのではないでしょうか。


では、答えを発表します。
答えは、「後ろの方の症状ほど重い心血管疾患の恐れが大きい」、です。1より2、2より3、3より4の症状の方が危険なのです。意外でしょうが、心血管疾患の場合「心血管疾患とは関係がなさそうな症状ほど危険」という傾向があります。

それぞれを具体的に解説しましょう。まず多くの人が心臓の心配をする胸の症状ですが、意外なことに、心血管疾患とのつながりは強くありません。
特に「胸がおかしい」という訴えしか症状が無い方に心血管の病気が見つかることは非常にまれです。胸には心臓以外にもたくさんの臓器がありますから、そちらの異常であるケースもありますし、単にそれまで意識しなかった鼓動を感じるようになり、不安になっただけの人も少なくありません。

「脈が飛ぶ・抜ける」などと脈の異常を訴える人も多いのですが、その多くは「期外収縮」という、年齢を重ねれば誰にでも起こる心配の要らない症状です。多くの方は鼓動や期外収縮に気づかずに毎日を過ごしているのですが、何かのきっかけで気づいてしまい、不安になって病院に行くケースが多いようです。
もちろん私は医師ですから、胸に異常を感じたら念のために病院に行くことをお勧めしますが、問題が見つかる可能性はあまり高くないでしょう。

 

■見落とされがちな症状にこそ潜む心血管疾患

このように、いかにも「心臓病かもしれない」と思わせる症状の大半が問題ないのですが、逆に、一般の方々が心血管疾患を疑わない症状にこそ病気が潜んでいるのが怖いところです。

たとえば、先ほど三番目に挙げた息切れの症状。もし最近、息切れを感じるようになっている方は注意してください。
実は、息切れの背後に心血管疾患がある可能性は小さくないのです。息切れを訴える方は、肺か心臓に問題があるケースがあります。
しかし、息切れを自覚しても「心臓に問題があるかもしれない」と考える方は少数派ではないでしょうか。「歳のせいかな?」などと考えてしまう方が大半でしょう。このように、症状から病気に気づきづらいのが心血管疾患の難しいところです。

四番目の「めまい・気が遠くなる」は息切れ以上に心臓とは関係がなさそうですが、その認識は間違っています。もしめまいを感じて耳鼻科系や脳神経外科で問題が見つからなければ、次には心臓のチェックをしなければいけません。
想像しづらいとは思いますが、めまいの原因が心臓にあるケースは少なくありません。

五番目の「だるさ」に至っては、心臓と関係があると考える人はさらに少なくなると思いますが、大いに関係があるのです。なぜなら、心臓の機能が低下すると、全身の血流が減少して体中に悪影響を及ぼすからです。

 

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