「受験の神様」にして精神科医の和田秀樹氏が、このたび初めて自伝的小説『灘校物語』(サイゾー)を上梓。自身が超難関校である灘校を舞台に主人公ヒデキの七転八倒の物語を描いた。ヒデキはとにかく好奇心旺盛で飽きっぽく、さらに過集中という性格。和田氏はみずから、「発達障害人生を送ってきた」としみじみと語る。一方今回の対談相手である「えらいてんちょう」こと矢内東紀氏は、双極性障害のうえ発達障害であると2カ月ほど前に診断された。異色のYoutuberとして注目を浴びる矢内氏は近刊『「NHKから国民を守る党」の研究』(KKベストセラーズ)で党首の立花孝志を徹底批判。どこのメディアもN国党の圧力を恐れ、忖度して批判をしないところをその急先鋒となって注目を浴びている。そんなふたりが「発達障害の人生をどう生きてきたか?」 またこの「発達障害の時代をどう生きるべきか?」。この閉塞した時代の殻を破るのは発達障害の人間しかいないとふたりは語る。なぜなら「空気を読まないから」だと……。その真意とは?

ボケてもやれるアメリカ大統領

矢内東紀(以下:矢内) 「和田秀樹先生の発達障害って、二次障害とかは、何かあるんですか?」

和田秀樹(以下:和田) 「二次障害は意外になくて。ほら、元マイクロソフトの成毛眞さんが“自分は発達障害者だ”って名乗ってて。以前、成毛さんと(書籍の企画で)対談をした時に、“和田さんは、発達障害なのに、よく勉強ができたねえ”って言われて、僕は“勉強が好きだったんじゃなくて、点取るのが好きだったから、ゲームのつもりでやってました”って言った記憶があるんだけど。基本的に、いまだに僕は、発達障害的人生っていうか、世間様は、僕が医者もやったり、映画監督もやったり、大学の先生もやったり、商売もやったりしてると、“すごいですね”って言うんだけど、僕は1か所にとどまっていられないから、毎日、同じことをすることが耐矢内れないわけですよ。だから、それが発達障害っていえばね……。」

矢内 「イスラム法学者の中田考先生が、イスラム国渡航事件の時に、“真っ向からかばってくれたのは、和田秀樹先生と、池内恵先生だけだった”って言ってたんです。要するに、ほかは、みんな、様子を見ながら、発言したりしていたと。それで、正義を貫くというか、ちゃんと言うことを言うというのは、空気を読めない障碍者にしかできないんだ、ということを言っていましたね。」

和田 「結局、いまの時代は、空気を読むのが当たり前すぎちゃってさ。たとえば、老人から免許を取り上げるとかさ。飲酒運転ひとつとってみても、警察って、どさくさに紛れて、ひどいことするなあと思うのは、東名でトラックが車にぶつかって、2人を焼き殺した事件(1998年発生の『東名高速飲酒運転事故』。飲酒運転のトラックに追突された乗用車が炎上し、幼児2名が焼死)でも、福岡の3人突き落とした事件(2006年発生の『福岡海の中道大橋飲酒運転事故』。飲酒運転の車に追突された乗用車が博多湾に転落し、幼児3名が溺死)でも、ウイスキー1本くらい飲んでいる泥酔運転なわけですよ。泥酔運転を厳罰にするのは当たり前だけど、いまビール1杯飲んだって、交通違反の点数は13点でしょ。それによって、田舎の飲食店をバカバカつぶしてさ。ビール1杯で大事故が起こった報道は全然ないのに、酒気帯びを厳罰化して、地方の飲食店をつぶすわけですよ。そうやって田舎いじめをしているわけだよ、東京は。それなのに、田舎の人間まで空気を読んじゃって、飲酒運転を悪いことだと言っているわけじゃないですか。それでさ、そのつぶれた土地にパチンコ屋が建って、警察の天下り先になっているわけ。そういうことを誰も言わないわけだよ。」

矢内 「言えないですね、やっぱり。」

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