幼少時は当時の武家の習わしに従って寺に預けられて、修行と学問に励んでいた三成。学んだ場所は大原観音寺(滋賀県米原市)だ。石田町から東へ約2キロの場所にある。三成が秀吉と出会った地と伝わる、歴史上重要な古刹(こさつ)である。

 

大原観音寺[おおはらかんのんじ](米原市朝日)
「三献の茶」の舞台となった古刹。三成が秀吉に出す茶に使う水を汲んだ「三成水汲みの井戸」も現存している。

 三成と秀吉の邂逅(かいこう)は「三献(さんけん)の茶」の逸話で知られる。鷹狩の途中、喉が渇いた秀吉が観音寺に立ち寄って茶を所望すると、寺の小僧が大きめの茶碗に、ぬるい茶を入れて出してきた。ぬるくて飲みやすいので、秀吉は一気に飲み干した。もう1杯所望すると、小僧は少し小さい茶碗にやや熱めの茶を出した。秀吉、飲み干して、さらにもう1杯頼む。

 3杯目の茶は、小さい茶碗に入って熱かった。鷹狩で渇いた喉に適したぬるめの茶から、次第に熱い茶を出せば飲みやすい─そう話す小僧を秀吉はいたく気に入り、「この小僧、もらっていく」と和尚に告げ、長浜城へ連れ帰った。

 

長浜駅前に立つ「秀吉・三成出逢いの像」
「三献の茶」の逸話を現在に伝える秀吉(左)と、寺の小僧姿の三成(右)の銅像。

 この小僧こそが後の治部少輔・石田三成である。JR長浜駅前には、秀吉と、茶を差し出す三成の両人をモチーフとした銅像が立ち、エピソードを今に伝える。