どんな「副業」をしたらいいか分からない人へ! 本音のアドバイス【角田陽一郎×加藤昌治】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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どんな「副業」をしたらいいか分からない人へ! 本音のアドバイス【角田陽一郎×加藤昌治】

『仕事人生あんちょこ辞典——50歳の誤算で見えた「ブレイクスルーの裏技45」』とは

◉自分にできること、世の中に見せてます?

 

角田:この質問の思いっていうのは、つまりその時に自分が何やればいいか分からないってことだよね。正しいかどうかは分からないけど、僕的なひとつの回答としては「アウトプットしてみる」。

加藤:どこまでやったら、アウトプット認定?

角田:「自分に専門性がある」と感じられるようなものを、会社の中っていうクローズド・ドメスティックなところでしか使っていないんだったら、Twitter とかnote とかYouTubeで発信して、やっぱり「自分はこういうこともできるんですよ」っていうことを世に出すしかない。もちろん、世に出すことで直接お金が来るかどうかは分からないんだけど、少なくとも「この人にはこの能力がある」っていうことを他人に知ってもらえれば、その人から発注やコンタクトが来る可能性は出てくる。

 そういう自分のスキルや能力をアピールすることを恥ずかしがる国民性なんだけれど、「イチローほどの技術じゃないんだけど、ちょっと野球上手いんです」っていうレベルからでもいいから出していくのが、副業への道を増やすことになるんだと思うんだよね。実際、僕はそれをやってきたんだと思うし。

加藤:確かに。発注主がその人の能力を分からないと、発注しようがないもんね。

角田:そうなのよ。僕、「本を書きたい人の個別相談会」っていうのをやってるけど、「書いちゃってアイデアがパクられたらどうしよう」みたいなことで悩んでる人って、死ぬほどいるんだ。

加藤:そうなんだ。

角田:「このアイデアが盗まれたらどうしよう」みたいなことばっかり言ってんだよ。「盗まねえよ! そんなに大したアイデアか!」って……当然それは言わないんだけどさ。「あなたがそのアイデアを持ってるって知らないのに、なんであなたに発注が来るんですか?」ってことじゃん。

加藤:まあそうだよね。

角田:こっちもそうアドバイスするしかない。アイデアでもスキルでも何でもいいんだけど、「ある」って表明していないのに不満を言っている人がやっぱり多い。「見つけてもらえない」「自分は世から見出されない」みたいな。「でもお前、見せてないじゃん」ってことじゃん。「だったら毎日Twitter つぶやいてるの?」って訊くと「つぶやいてないです」って言うんだよ。「いや角田さんは有名だから」とか言われたこととかあるわけよ、全然有名じゃないのに。それ言われると一番カチンとくるわけ。

 僕だって、七~八年マメにTwitter やってるもん。やってたら一万人くらいフォロワーが増えただけだし、それでも高々一万人くらいしかいないわけで、べつにいろんな力を使ってそうなったわけでもないしさ。だから「それは結局、日々発信してるかどうかしかないんだよ」って話をよくするわけ。「そこまでやって、あなたは自分の能力を世の中に見せていますか?」って訊くと、やってない人のほうが多いんじゃないかな。

加藤:まずアウトプットがあることが前提にはなるけど、それをどう出すか、見せるかについて云うと、角田くん説だと「情報化の頻度・回数」がポイントのように聞こえる。それはそれでアドバイスとしてアリだとして、もうひとつは、やり方とか云い方の模範というかサンプル?をアウトプットの中に入れ込むことも大切だと思うんだよね。

 例えば「副業で少年野球のコーチをやっています」みたいな話があったとして、それをみんな自分のブログやTwitter に書く時に「今日はコーチをしました」しか書かない人っているじゃない。結果や結論の部分しか書いてないと、「どういう教え方なの?」がまったく分からないわけよ。そうすると、発注しにくいよね。

 そうではなく「少年野球で、こういう練習法でコーチをしました」まで、途中の過程にある「How」のところが見えてくると、「ああ、そういう教え方をするんだ。じゃあうちにチームにいいかも」ってマッチングの精度が高まるわけだけど、そこまでやっている人は少ないように見える。

角田:本当に少ないんだよね。さっきの個別相談会でも、「じゃあTwitter やります」っていう人もいるにはいるんだけど、こういう言い方は嫌だけどさ、俗に言う「ポエムっぽい140字」を書いちゃうんだよ。

 例えば、その人がライターをやっているって他の人は知らないのに「今日インタビューに行ったらこうだった」って書くわけ。でも、あなたがライターだってみんな知らないんだから「インタビューに行った」ってことだけ書かれても分からないわけよ。仮にいいことを言っていても、その人のことをほとんど知らない人には伝わらないんだよね。

 だから、「ライターをやっている私」について書かない限り、140字でどんなにいいこと書いても伝わらないんだけど、それを書かない人が圧倒的に多いんだ。有名人ならいざ知らず、あなたが何者か誰も知らないのにあなたの感想だけ書いたってそりゃ伝わらんわ。それは今の加藤くんの話とそっくりな気がする。

加藤:角田くん的に云えば「あらすじを書く」ね。

角田:そう。つまりその人が少年野球で何を教えたかをちゃんと書かないと、単純に何の情報もない140字になっちゃうんだよ。

加藤:わかるわかる。

角田:それを気にしないでやってる人が、異様に多いんだよね。「それは、あなたの知り合いに向けた日記でしょ」っていうものは、それは副業には繋がらない気がするよね。

加藤:そこはやり方な気がするけどね。例えばライターだったらさ、今、目の前にある録音機、ゴツいじゃない? これ見ると「おお、スゲー」「プロっぽい」と思うわけよ。「これは録音ミスなさそうだな」って。機材も過程で、そこの過程をちゃんと見せてあげることで「注意深くやる人なんだな」と思わせることができるわけだから、「過程を言語化する」ことはとても大事だね。 過程の言語化で思い出しましたが、落合博満さんに『バッティングの理屈』っていう本があって、これがなんとダイヤモンド社から出てるんだよね。この本は和田史子さんとおっしゃる超辣腕編集者に教えてもらったんですが、もう本当にバッティングの理屈と過程だけしか書いていない本なの。「肘の上げ方はどうだ」とかそんな話を延々としているだけ。それを実際の写真入りで。社会人野球の人がモデルになって載せてる、ただそれだけの本なんだけど超面白いわけ。

角田:比較的最近の本なんだね。

加藤:確か復刊したんだよ。落合さんって理屈の塊だなーと。写真入りで「肘はこうあるべきだ。なぜならば……」みたいなことを延々と論じている、そう書いてじゃなくて論じているの域よ、これたぶん。野球好きかどうかは別として、過程の言語化、すごい。要はこういうことだよねと。

 Twitter は字数制限もあるから、過程を詳細に語るには連投しないとダメだし、落合さんレベルじゃなくてもいいんだけど、こういうことが書かれていると直接習いたくなったり、発注したくなる。だからこの本は、過程を可視化することのすごくいい例だと思うんだよね。

角田:今Amazon でこの本見てたらさ、「スポーツ」ってジャンルでは156位なんだけどさ、「哲学」っていうジャンルにもちゃんとランキング入ってるのね。これ面白いね。だから、そのダイヤモンド社の編集者さんが分かってるってことだね。バッティングのことしか書いてないんだけど哲学を語ってるってことだよね、つまり。

加藤:理科の実験の本みたいな感じ。で、僕らは野球じゃないことで同じことをやればいい。

角田:落語家の立川談慶師匠って、確か本を一三、四冊書いてるんだけど、最近出した『教養としての落語』っていう本が売れてるんだって。それ、すごく分かる。今までは「ちょっとした粋な生き方」とか、そういう本をたくさん出してて、まあ売れてなかったわけじゃないと思うけど。

 でも『教養としての落語』はすぐに増刷が決まったらしく、本人がそのことについて「『その著者に何が求められているのか』ということはすごく大事なことだ」って書いていたのね。

 確かに、僕もいつも献本をもらうんだけど、こっちも師匠のことを知っているから、今までのエッセイ的な本はそんなに読みたいと思わなかったんだ。でも「教養としての落語」って言われるとちょっと知りたいじゃん。

加藤:知りたい。

角田:だから本人も、「俺が書くべき本はこれだったんだ」って自分で言ってた。「餅は餅屋」じゃないんだけど、やっぱり落合さんに世界情勢を語られてもね。それが仮に正しいとしてもね。やっぱり落合さんにはバッティングとか、強いて言うなら「プロ野球での優勝の仕方」だったらまだ読むけど、「世界情勢を分析する」だったら、内容正しくてもやっぱりみんな興味湧かないんだよ。

加藤:そこは「換骨奪胎」で。テーマじゃなくて作り方に着目してみた次第。テーマも大事ですが。

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『私たちの人生には、もうちょっと多くの選択肢があるんじゃないか?』ーーー加藤昌治

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角田 陽一郎/加藤 昌治

かくた よういちろう かとう まさはる

角田 陽一郎(かくた・よういちろう)

バラエティプロデューサー/文化資源学研究者 

千葉県出身。千葉県立千葉髙等学校、東京大学文学部西洋史学科卒業後、1994年にTBSテレビに入社。「さんまのスーパーからくりTV」「中居正広の金曜日のスマたちへ」「EXILE魂」「オトナの!」など主にバラエティ番組の企画制作をしながら、2009年ネット動画配信会社を設立(取締役 ~2013年)。2016年TBSを退社。映画『げんげ』監督、音楽フェスティバル開催、アプリ制作、舞台演出、「ACC CMフェスティバル」インタラクティブ部門審査員(2014、15年)、SBP高校生交流フェア審査員(2017年~)、その他多種多様なメディアビジネスをプロデュース。現在、東京大学大学院にて文化資源学を研究中。著書に『読書をプロデュース』『最速で身につく世界史』『最速で身につく日本史』『なぜ僕らはこんなにも働くのだろうか』『人生が変わるすごい地理』『運の技術』『出世のススメ』、小説『AP』他多数。週刊プレイボーイにて映画対談連載中、メルマガDIVERSE配信中。好きな音楽は、ムーンライダーズ、岡村靖幸、ガガガSP。好きな作家は、ホルヘ・ルイス・ボルヘス、司馬遼太郎。好きな画家は、サルバドール・ダリ。

                                                             

加藤 昌治(かとう・まさはる)

作家/広告会社勤務

大阪府出身。千葉県立千葉髙等学校卒。1994年大手広告会社入社。情報環境の改善を通じてクライアントのブランド価値を高めることをミッションとし、マーケティングとマネジメントの両面から課題解決を実現する情報戦略・企画の立案、実施を担当。著書に『考具』(CCCメディアハウス、2003年)、『発想法の使い方』(日経文庫、2015年)、『チームで考える「アイデア会議」考具応用編』(CCCメディアハウス、2017年)、『アイデアはどこからやってくるのか 考具基礎編』(CCCメディアハウス、2017年)、ナビゲーターを務めた『アイデア・バイブル』(ダイヤモンド社、2012年)がある。           

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  • 2021.09.02