日本ではまだ馴染みの薄い「リトリート」。その現状やメンタルも含めた健康効果といった概要から、費用の抑え方や自分に合ったプログラムの探し方といったテクニックまで、ヨガトラベラー・土屋愛が自身の経験をもとに教えてくれた。

 みなさん、こんにちは。ヨガトラベラーの土屋愛です。

 前回は前編として、リトリートとは「自分自身と向き合う事で自己成長という心身のリセットをする」という事をお話しました。今回は後編として、実際に参加したリトリートの内容と、私自身が感じたプロセスや効果をお伝えしていきます。

■リトリート施設ってどんなところ?

 私が参加したリトリートは、タイ・チャンマイ市街から車で50分ほど離れた場所にある「Mala Dhara (マラダーラ)」というエコリゾートで開催されました。期間は5日間です。
 ほとんどのリトリートは市街地から約1時間程度かかる自然の中にある施設で行われます。場所によっては電波も入りづらいエリアだったりもしますが、施設の中には大体Wi-Fiが付いていますので安心してください。とは言え、前編でもお伝えしましたが、リトリートとは「日常生活から離れる時間を作る」という事ですので、リトリート中は仕事をしなくても差し支えないように、参加する前から調整しておく事をお勧めします。
 実際、リトリートが始まると、頭のスイッチが面白いほど切り替わっていくので、仕事のやりとりなどをするのが難しく感じると思います。

 エコリゾートとは、人と自然に対して優しく運営・維持していくリゾート施設の事を言います。例えば、マラダーラのプールでは、毒性のある塩素の代わりに塩が使われていました。

「皆さん、プールに入る前に身体を洗ってくださいね。」

 たったこれだけのことを意識するだけで塩素を塩に変える事ができます。ベッドシーツも、ホテルと違って毎日交換されることはありません。毎日新しいシーツの上で寝るために必要な洗濯の水量を考えると納得です。

 マラダーラでは、自家菜園で収穫したオーガニックな食材を使った料理が振る舞われ、動物性の食品を一切使わないビーガン料理をいただきました。リトリート中の食事はベジタリアン、もしくはビーガン料理を食べる事で、身体と味覚のリセットも同時に行います。「味気ない食事を5日間か……」という心配の声が聞こえてきそうですが、エコリゾートやリトリート施設では、ベジタリアン向けの食事やビーガン料理を修行してきたシェフ達を雇っています。ありとあらゆる工夫がなされた食事は、肉料理がなくても十分な満足感を得られます。

■個性的な仲間たちによって自分一色のパレットに色が増えていく

 施設までの移動方法は、現地集合、または決められた待ち合わせ場所から一緒に移動するかのどちらかを選べます。一緒に移動することになれば、その時点から参加者とコミュニケーションを取る事が出来ます。まだ出会ったばかりですので、やはりどこか緊張は隠しきれません。
 それは、どこの国の人も同じで、とりわけ日本人だけがシャイなわけではないという事に早速気付きます。学生時代、新学期になると新たなクラスメイトに囲まれて少しだけソワソワするあの感じ。少年少女時代のピュアさを含んだ緊張感が心地良かったです。

 施設に到着すると、各自チェックインを済ませ、決められた時間までフリータイム。リトリート初日は、簡単な集まりのみです。参加者同士の自己紹介とリトリートに参加した「意図」を交換し合います。「目的」ではなく、「意図」を参加者に考えさせるところに、今回の主催者であり講師のセバスチャン・ブルーノ師の巧みなアプローチを感じました。目的とは、言い換えると「こうなりたい終着点」だと思います。それを決めてしまうと、その決めた目的地にはたどり着けるかもしれないけれど、その先の一歩は踏み出さないかもしれません。意図とは、「こうしようと考えている思惑」ですから、あくまでも向かいたい方向性を決めるだけです。目的地に向かうためには無限の可能性が広がっているわけです。

 今回のリトリートには、ドイツ・イタリア・スイス・オーストリア・チェコ・アメリカ・そして日本という国際色豊かな面々が集まり、個性的な参加者達が揃っていました。他の人の意図を聞く事で、自分一色だけだったパレットにどんどん色が増えていきます。いよいよ、リトリートが始まります。

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