■「スカーレット」「G線上のあなたと私」で渋く光るアラフィフ女優、富田靖子と松下由樹「アイコ十六歳」からの紆余曲折

 101作目の朝ドラ「スカーレット」が好評だ。前作「なつぞら」のような派手さはないが、ヒロイン・戸田恵梨香を中心に、バランスのいい作品に仕上がっている。第8週では、いつもは地味な主人公が会社のマスコットガールとして新聞に登場、アイドル的な可愛さで驚かせるという、朝ドラらしい展開が見られた(かつては「あすか」の竹内結子も似たシチュエーションを演じたものである)。

 そんな「スカーレット」の助演を渋くこなしているのが母親役の富田靖子だ。北村一輝扮する父親が、けっこうなダメ男なので、その明るく尽くす姿が絶妙な中和剤になっている。そして、彼女のこれまでの女優人生もまた、苦労の多いものだったことがしみじみと思い出されるのだ。

 彼女は83年に映画「アイコ十六歳」で主演デビュー。約12万7千人のなかからオーディションで選ばれ、これ以上ないスタートを切った。翌年、2作目の映画の前にはこんな初々しい発言をしている。

「でも、まだ私女優といっても、本当にタマゴだとつくづく思いますねえ。だって、女優の吉永小百合さんって、今日初めて知ったんですもの」(「ボム!」84年6月号)

 しかし、この映画「ときめき海岸物語」は相手役の鶴見辰吾が大麻で逮捕され、途中で打ち切り。4年後の連ドラ「疑惑の家族」も相手役の木村一八の暴行事件により、途中で打ち切りになった。

 92年には、車を運転中に接触事故を起こし、同乗していた筧利夫との交際が発覚。その3年後、映画「南京の基督」でヘアヌードを披露したものの、このイメチェンは大成功とはいかなかった。それゆえ、30代以降は目立った活躍もなく、実力はありながらくすぶっている人という印象に。07年の結婚と出産も、さして話題にならなかった。

 そんな富田と同じオーディションで世に出たのが、松下由樹だ。こちらも現在、連ドラの「G線上のあなたと私」に出演中。波瑠と中川大志が扮する若者ふたりとともに、不思議な友情を育む中年の主婦を自然に演じて、物語に説得力を持たせている。

 ただ、36年前のデビュー作「アイコ十六歳」でもらえた役は、ヒロインの友人のひとり。富田はこの映画のイメージソング「オレンジ色の絵葉書」も担当したが、松下はそのB面に収録された「夢少女」を友人役5人で一緒に歌った。レコードジャケットには富田がひとりで写り、松下は富田を含めた6人の集合写真というかたちで歌詞カードの隅っこにいる。

 その後、米国へのダンス留学を経て、富田と同じアミューズに所属し、本格的に女優活動を開始。連ドラ「オイシーのが好き!」や「想い出にかわるまで」で注目され、96年に始まった「ナースのお仕事」シリーズが大当たりした。また、バラエティ「ココリコミラクルタイプ」でコントにも器用さを見せ、フジパンのCMなどでも親しまれていく。