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親の「介護とお金」ホンネの話。ぶっちゃけ「特別養護老人ホーム」の費用っていくらかかるの?

長い目で見れば「ちりつも」に注意!

ホーム入所後は3か月が勝負!

 部屋には認知症やケアマッサージの本も置いてある。足の裏をオイルマッサージすると、父は不覚にもよだれを垂らしたりする。また水虫や湿疹、あざなどの皮膚の異変にも気づくことができる。たとえ素人であっても「見る」「触れる」の手足マッサージは効果的だ。一日中靴下と靴を履いている父の足は猛烈にくさいけれど。足湯専用の桶も用意して、ときどき足湯もさせている。

 ホットタオルで顔や首を拭くのも、父は大好きである。熱い湯に浸して絞ったタオルを顔に当てると、心地よさそうにうっとりする。もともと風呂好き・温泉好きだった父が、今は週に2回しか入浴できない。不満に思っているかと思いきや、そうでもないらしい。時には面倒くさいと思うこともあるようだ。

「施設にいると、〇〇ができなくてかわいそう」と不憫ふびんに思うことなかれ。
 実際は、家族が思うほど不憫でも不幸でもない。案外小さな喜びや快楽を見つけていることもあるのだから。

 介護に関しては、いい本がたくさんある。専門家が書いたお金の本、家族にもできるケアや心がけの本など、ためになる本にも巡り合えた。

 良書があれば、さりげなく母に勧めるようにしている。右馬埜節子・著『認知症の人がスッと落ち着く言葉かけ』(講談社)。母もこれを読んで、過去の己の蛮行を反省したようだ。私自身は、太田差惠子・著『親の介護には親のお金を使おう!』(集英社)が非常に心強かった。逆に、芸能人の親の介護本はまったく参考にならないとわかった。介護の肝である「金」と「罪悪感」に関して、あまりに感覚がかけ離れすぎているからだ。

 本を読んだり、自治体が行う認知症の講座を受けたりして、学んだのは「否定しない」「急がせない」「焦らせない」こと。さらに自己流で言えば、「友人や知人、会社員時代の人の訃報やお誘いは、父に伝えない」「父の怒りや寂しさを真に受けず、やんわり右から左へ受け流す」ことだ。同じ質問を
10分の間に8回されても、8回とも同じテンションで答えることができるようになった。

 入所して3か月経つと、確かに父は落ち着いてきた。
 3か月が勝負というのは本当だった。「いつまでもこんなところにいられないな」「そろそろ俺もここを卒業しなきゃ」とは言い続けているが、激昂することはなくなり、実に穏やかな日を迎えている(少なくとも私の前では)。

 親や配偶者をホームに入れて、ありとあらゆる言葉を浴びせられ、罪悪感にまれている人には、この3か月説を教えてあげたい。今は、親の施設入居で迷っている人、罪悪感を抱いている人の背中をそっと押してあげたい気持ちである。(『親の介護をしないとダメですか?』より構成)

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吉田 潮

よしだ うしお

コラムニスト

1972年生まれ。おひつじ座のB型。千葉県船橋市出身。ライター兼絵描き。



法政大学法学部政治学科卒業後、編集プロダクション勤務を経て、2001年よりフリーランスに。医療、健康、下ネタ、テレビ、社会全般など幅広く執筆。『週刊フジテレビ批評』、『Live News it!』(ともにフジテレビ)のコメンテーターなどもたまに務める。2010年4月より『週刊新潮』にて「TVふうーん録」の連載開始。2016年9月より『東京新聞』放送芸能欄のコラム「風向計」を連載中。著書に『幸せな離婚』(生活文化出版)、『TV大人の視聴』(講談社)、『産まないことは「逃げ」ですか?』(KKベストセラーズ)、『くさらない イケメン図鑑』(河出書房新社)ほか多数。本書でも登場する姉は、イラストレーターの地獄カレー。



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  • 吉田 潮
  • 2019.09.11