私がジェニーハイに興味を抱いたのは、音楽担当編集として、「なんかいい音ないかな?」 とYouTube検索をしていた2018年の春だった。

 ん? 何なんだ!? このピアノの旋律は? ヴォーカルのフレーズとは異なるタイミングでずれて進行していく!! 

 

 そう、私は、どうしても音に驚きを求めてしまうタイプなんです。

 

 あれ、でもいきなり入ってきたサビが進むに連れて調和していく。何なんだこの楽曲の気持ち良さは~とやられてしまったんです。(どうやら琉球古典音楽の「歌三線」では歌と演奏のタイミングのずれと調和を自在に操り、複雑で奥深い構成となっているそうだ)

 

 そう、『片目で異常に恋してる』のPVを偶然クリックしたその瞬間は、メンバーが誰なのかなんて見てませんでした。とにかく超絶ピアノがすごい!!

 

 曲が進むと、今度は、え!? 全然違う曲調が割り込んでくる。

 “A DAY IN THE LIFE”がフラッシュバック! やられた~

 

 めまぐるしく高低する音階。エンディングは変調~いきなり新しいメロディが挿し込まれバツっと終わる。

 

 参った~やられた~。

 

 二度見をかけようと今度はPVの映像を追っていくと、コヤブセンパイ、しばたさん、いっきゅうさん、がっきー、えのんPとメンバークレジット。そう、小薮千豊、くっきー!、中嶋イッキュウ、新垣 隆、川谷絵音なのである。

 超絶ピアノに予測の付かない展開の曲調と歌声。新垣 隆と川谷絵音と中嶋イッキュウ。納得させられました。そしてえのんPからの要望にがっちり応えるのは、別の経歴を元々持った2人。個性がぶつかるとこんなスゴいことが起こることがあるのか…。

 

 メンバー全員個性が強くて、どこか不安はあるんだろうけど、楽しさが止まらないんだろうな? って勝手に妄想していました。

 そして、いつかインタビューしたいなって勝手に想像していました。

 

 で、念願かなって、11/22(金曜)@ホテルニューオータニでのジェニーハイ ファーストフルアルバム『ジェニーハイストーリー』の合同取材に参加できました。

 音専誌『ロッキング・オン』の小柳大輔氏がインタビュアーで進行。

 まずは音の話に迫ります。

 

ーーラップがけっこう多いですよね。

川谷絵音 ラップの楽曲、好きなんです。「ジェニーハイラプソディー」にも入ってるんですけど、あとは「バレンタイン泥棒」にも。今年のバレンタインデーに松田翔太さんと飲んでたんですけど、チョコレートをスタッフの人にいただいて、真ん中にでっかいハートがあって。そんな曲を作ってみたらというエピソードがあり……。普段話していることがモチーフとなって作った楽曲も結構あって、割とその場その場の感性で作っていることも多いんです。

小薮千豊 くっきー!さんはレコーディングはどうでしたか?

くっきー! 楽しい時間でしたよね。完成を目の当たりにできるというか…。でも、プラモデルとはまた違って、動き出す感じ、完成した曲が動き出すのが、まるでゾイドみたいな……、ね! 僕はレコーディングのことゾイドって言っているんですけど、スケジュール帳にも、ジェニーハイ の活動日をゾイドって書いているんです。

川谷絵音 初めて聞きました。

くっきー! 初めて言ったもん。

小薮千豊 ゾイドみんな知らんやろ。たぶん。

くっきー! そういう世代じゃないですか?

小薮千豊 えんじのゴリラとか知らんやろ。

くっきー! なつかしいな。

小薮千豊 青グレーのゾウとか知らんやろ。

 

ーーありがとうございます。新垣さんいかがですか?

新垣 隆 川谷さんと川谷さんの仲間の音楽性を尊重して、その中でも、なるべく自分を出せるようにという気持ちで取り組んでいるんですけど、普段はどちらかというとクラシックというか現代音楽とかをやっていて、ポップスについてはもうちょっとかなってところはあるんですけど、でも楽しくやらせていただいております。

 

ーーイッキュウさんは、トラックが仕上がって、最後に歌を入れていると思うんですけど、これだけいろんな曲がある中で、どういうことを心がけていますか?

中嶋イッキュウ そうですね。自分のバンドでレコーディングするときは自分の思い描いているものが正解なんですけど、ジェニーハイでレコーディングするときは絵音さんがこうしたいっていうのもそうなんですけど、自分が良いと思ったもののさらに超えたところを目指さなければいけないので、いつもDADARAYのえつこさんに教えていただきながらレコーディングしているんですけど、改めて自分の声とか歌と向き合う時間になっていますね。

 

ーー本当にいろんな曲を歌っていて苦労も当然ありますか?

中嶋イッキュウ メロディーの作りが全然違うし、音の飛び方も難しいので毎回成長した気持ちになります。

ーー絵音くんっていろんなバンドでいろんな曲をつくっていて、名曲ばかりなんですけど、明らかに違うギアが入っている感じがします。

川谷絵音 みんなキャラが立っているから、各メンバーに関しての歌詞も書けるし、そういうバンドはなかなかないんじゃないかな、と思います。だからラップにも気合入ってというか、ラップの曲はこのメンバーじゃなきゃできなかったんじゃないかなとも思う。そして、全部がシングルのような感じの曲になっているとも思うので。自然と違うギア入ってるのかもしれませんね。

 

ーーこれだけのメンバーなので、いろんな方がいろんな期待を寄せていると思うんですよ。そこの期待とジェニーハイというバンドが進む方向っていうのは、いろいろ悩みながらも進んできたのかな、と思うんですけど、その辺はみなさんいかがなんですか?

小薮千豊 元々番組『BAZOOKA!!!』の総合演出の武田さんが、イッキュウさんとくっきーさんと小藪さん似ているからバンド企画やりましょう、みたいな。そうですねーって言うてたんですけど、本気でやるならめちゃめちゃうまいキーボード、めちゃめちゃうまいギター、めちゃめちゃ曲作るの上手い人を入れたほうがいいですよねとなって。本気でやるならそうですよねと。僕ら芸人2人いるなら、ちゃんとしないと寒なるというか。この人たち、そう簡単には来てくれないだろうけど、理想はあの2人。世間を騒がせた度合いと、音楽の才能の凄さの両方を兼ね備えている。だからメンツ的になちょうどいいかなと。だけど無理やろな……。でもオファーだけしてみよかってトライしたら、ご快諾いただきました! 最初はこんなすごいことになるとは思ってなくて……。でも、やるならちゃんとやりましょうって。どれくらいのスパンでやっていくのかなって思ってたら、曲が1曲できた。ほんならPVこんなんやりましょう。こういうふうにいきましょうって、どんどん高い目標を設定していって、ぼくらは付いて行ったら、Mステとかあるのかな……。バンド組んだ人なら必ず言う、「Mステ出たいな、紅白出たいっ」ていう現実味のない目標だったんですけど。まさかこんなに早く適うとは思わなかったんですけどね。

ーージェニーハイというバンドは内輪ネタにしようと思えばいくらでもできると思うんですけど、それも程よくありながら、バンドがやる音楽として非常にクオリティが高くて、一言で言うと、マジでやるという。そこのバランスが大事で、どっちかにブレ過ぎてはいけないと。そこは一番考えたところかなと思うんですけど。

川谷絵音 そうですね。遊んでしまえと思えば、ほんとうに遊べるんで。それでも、たとえ遊んでるものでもかっこよくしなければいけないなっていう……。今回のアルバムを聴いていただければわかると思うんですけど、歌詞とか結構遊んでいるというか、結構本気というか、これで全部遊んでいたら、またやってんなって感じに受け取られるかもなので、ちゃんとできるんだぞ!って意味も込めて、小薮さんもくっきーさんもすごい練習しているし、ちゃんとしたバンドっていうのを意識しながら、外すところは外したって感じになってます。2年くらい一緒にやって、やっと見つけた形だと思います。

 

ーー新垣さんは普段クラシックのパフォーマンスがあると思うんですけど、いわゆるポップ、ロックのマナーの中で。弾いていくっていうのはどういう経験でしたか?

新垣 隆 自分の中ではただただ楽しくやらせていただいていますし、ほんとうにすごいメンバー、面白いメンバーだと思いますので、それを川谷さんが一つの形にもっていってくれていると思うので、本当に大きいと思います。なかなか自分で言うのもなんですが、ユニークなバンドの在り方だと思います。

ーー当初は、どの方向に行くのかわからずにスタートしたのかも、というのはあるんですけど、これはいいバンドだなと、バンドとして形になるな、と感じたきっかけはありますか?

川谷絵音 まず「片目で異常に恋してる」って曲を作って、その時点ではまだ方向性がはっきりとしていた訳ではなかったんですが、その後ミニアルバムを出すことになり、いろんな曲を録っているときに、こんなこともできるんだなとか、初めてラップを入れたときに見えたというか……。ゲスの極み乙女を始めたときも、最初に早口で詞葉を入れたときに、「これだな」と思う瞬間があったんです。ジェニーハイでメンバーの紹介をするラップの曲(ジェニーハイラプソディー)を作ったときに、これはなんか違うものになるなと強く感じて、他の曲に対する捉え方も変わった。ジェニーハイっていう企画ものじゃないスイッチが入ったのはラップを取り入れたときからですね。ゴーストライターと何回言ってもいい? みたいな感じで、ライブのとき、「ゴーストライター」ってお客さんに叫んでいただく瞬間があるんですけど、そのとき新垣さんめちゃくちゃ声小っちゃいんで、僕らもゴーストライターってめちゃくちゃ言っているから、本人がもうちょっと声が大きくなってくれるといいんですけど(笑)。

新垣 隆 なかなか自信を持って言える言葉ではないので。

小薮千豊 よう言うわ。何回も言うてたわ、自分でゴーストライターって。もうゴーストはしてませんってインタビューの度に言うのに(笑)。ガッキーの難点は、音楽も素晴らしいし、礼儀正しいし、人に優しいんですけど、ラップ覚えへんのと、声がちっちゃい。この2点だけですね。ほんまに声がちっちゃくて何言っているか分からないときが多いです。なのでガッキーの話の半分は聞こえてないけど、ああそうなんですねって言ってます。

新垣 隆 そうだったんですか。

小薮千豊 え、今なんて?マイク通しても聞こえない時があります(笑)。

 

 さすが、『ロッキング・オン』小柳さん!

 音楽性の魅力も、メンバーの魅力も、バンドとしての魅力も、聞き出して頂きました! ありがとうございます。

 

 で、やってきましたフリー質問タイム!

 気になることがあと1点あったので質問してみました。

BEST T!MES編集部 PVを見たとき衝撃的で毎回テーマが、色もあるなと、たとえば「ジェニーハイラプソディー」では黄色、「シャミナミ」ではゴレンジャーカラー。音楽はもちろん大好きなんですけど、ビジュアルもすごいって感じたんです。そこで今回のアルバムでは、あえてモノトーン!この点のいきさつは?

川谷絵音 アルマーニが借りれるって話があって、じゃあスーツでって。

小薮千豊 アルマーニ選考でございます。アルマーニさんありがとうございます。

川谷絵音 でもみんなサイズがゴチャゴチャすぎて、結局僕しか着ていない。

小薮千豊 なんやそれ。

くっきー! 俺らアルマーニじゃないんですか?

川谷絵音 すいません僕合わせだったんです。

他メンバー一同 ええーー????

中嶋イッキュウ じゃあ、Pがアルマーニを着たかったってことですか?

川谷絵音 そういうことになりますね。

小薮千豊 なんや?

中嶋イッキュウ フルアルバムだからみんな正装している訳ではないと。

川谷絵音 あまりにも身長とかみんなゴチャゴチャすぎてサイズがマジでない。

小薮千豊 なんかちょっと生地ちゃうなと思ってたんですよ。Pだけ(笑)。

 

BEST T!MES編集部 お仕事柄、イッキュウさんのセンスが盛り込まれていたのではと読んでしまったんですけど、どうですか?

小薮千豊 イッキュウさんはブランドをやられてはりますからね。僕ら皆イッキュウさんのかばんを持っていたり、ジャンバー買ったり。

中嶋イッキュウ 今回は全く関わっていないですね。Pのただのワガママというか。アルマーニ着たかっただけだったりして……。

川谷絵音 曲作ってるから許してよ。

 

 ありがとうございました!!

 

 本当に真摯に本気で音楽と向き合い、方向性を見つけ、メンバー間の絆も深く、音楽という素晴らしい文化を楽しんでいるみなさんの気持ちが伝わってきました。ジェニーハイを大応援していきたいと改めて感じた1日でした。

 課題は、新垣さんの小声か~。メモ帳は最近卒業しましたもんね新垣さん(笑)。