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あなたの手洗いは正しい? インフルエンザ対策の落とし穴は手洗い後のハンドケアにあった!?

感染症予防にハンドケア習慣を

今年は例年より早くインフルエンザウイルスが流行。間違った手洗いは手あれの原因に

 東京都感染症情報センターによると、2019年第38週(9月16日~9月22日)の都内のインフルエンザ患者報告数は5,716人と、早くも流行開始の基準に達し、今後の本格的な流行に警戒するよう呼びかけています。これに伴い、予防に有効な手洗いの重要性が呼びかけられ、手洗いが徹底される一方で、間違った方法で行う手洗いは、手あれを起こす原因のひとつになっていると皮膚科医は指摘します。

 野村皮膚科医院院長 野村有子医師は、「インフルエンザ流行の話題が出ると、手あれを訴える患者さんが目立ち始めます。患者さんに話を聞いてみると、熱いお湯を使用するなど間違った手洗いをしている方が多くいらっしゃいます。また、感染症対策に手洗いは重要だと思って手洗いの回数を増やす一方、ハンドケアに対する意識は低い方が多いです。感染症対策を徹底するためにも、正しい手洗いとハンドケア習慣を身につけましょう。」と語っています。

■間違った手洗いや手洗い回数の増加により手が荒れやすくなる理由

 人間の皮膚の一番外側には皮脂膜があり、皮膚の水分を逃がさないように守っています。手を洗う回数が必要以上に多くなると、皮脂が奪われてバリア機能が崩れてしまいます。そして、皮膚の水分が奪われ乾燥がすすむと、外部からの刺激等が加わった時に、ひびやあかぎれなどの手あれ症状が起こります。

医療従事者も注目する「手あれ予防」の重要性

 感染症対策のために、手洗いやアルコール消毒などの手指衛生管理を徹底している医療関連機関では、近年「手あれ予防」の重要性に注目しているといわれています。医療機関では手洗いやアルコール消毒を行う回数が非常に多いため、手あれを起こしやすく、症状が悪化すると十分な手指衛生が行えなくなって、感染症につながるリスクが高まるからです。今年10月、医療関連感染対策の総合専門誌において、手あれ予防の特集記事を監修した野村医師は、「感染症対策のひとつとして、ハンドケアが医療現場でも注目されています。手洗いやアルコール消毒は避けられないので、手あれを重症化させないためのハンドケアが重要となります。」と語ります。

■手が荒れていると、手の亀裂に異物が付着しやすい。ハンドケアで異物の付着しにくい手に

 ユースキン製薬と野村医師が共同で行った「繰り返す手あれの原因と対処法について」の検証実験では、モニターの手あれ状態を確認すると、痛みを伴うひび・あかぎれの亀裂がある方は、同時多発的に色々な場所に細かい亀裂がありました。その亀裂をマイクロスコープで観察してみると、細かいゴミや糸くずなどが付着していることがわかりました。モニター試験では、ビタミン系クリームを使って、使用量・塗り方・塗るタイミングを指導し、実践してもらったところ、指導から3日目には症状が改善し、7日目には亀裂がふさがり、糸くずやゴミ等の付着もなくなりました。

1日目

3日目

亀裂が治り、細かいゴミやなども消失

 野村医師は、「手あれをしていると、亀裂からいろいろな異物が入る可能性も考えられます。」と指摘しています。インフルエンザ等の感染症を引き起こすウイルスや細菌は非常に小さく、指の亀裂から入り込む可能性も十分に考えられます。さらに、野村医師は「かさつきを放置していると皮膚が固くなり、手肌の表面に亀裂が生じやすくなります。重症化を防ぐためには、早めに正しいケアを行いましょう。ポイントは、手あれの症状に合ったハンドクリームを選び、塗る量と塗り方をしっかりと意識する事です。」と語ります。

インフルエンザウイルス:80~120nm
ノロウイルス:25~35nm
ウイルスは細菌よりも更に小さい。
モニター試験では1㎜~2㎜の指の傷に30μm程の糸くずが付着していた。

手あれしにくい手洗い法とは

 手洗いするときに特に気を付けたいのは、水の温度です。「寒いと、手洗いに熱いお湯を使用したくなりますが、皮脂を奪いすぎるのでぬるま湯で洗いましょう。手洗い後の拭き方も意識することで、手あれの重症化は予防できます。」と野村医師はアドバイスします。

■手あれを招かない手洗いのポイント

ぬるま湯で洗い、こすりすぎない
高温だと皮脂を奪いすぎ、乾燥を招きます。

爪の周りや指の間などを忘れずにきちんと石鹸で洗う
忘れがちな爪の周りや指の間も丁寧に洗いましょう。

ハンドドライヤーは使わない
ハンドドライヤーは指先を乾燥させすぎてしまう傾向にあります。

手洗い後、髪や服で手を拭かない
洗った後は清潔なタオルやハンカチで、すぐに水気を拭きましょう。

感染症対策に“うがい・手洗い・ハンドケア”の新習慣。こまめにケアができない時は寝る前の集中ケアを習慣に

 ひび・あかぎれ・しもやけに効く「ユースキンA」を製造販売するユースキン製薬株式会社(本社:神奈川県川崎市/代表取締役社長:野渡和義)は、「感染症対策のために手を洗うことはとても大切ですが、手あれを起こさないためにハンドクリームで保湿する習慣も大切だと考え、啓発活動を続けています。冬場になると小売店では、石けんやアルコール消毒剤と同じコーナーにハンドクリームを陳列する店舗もあり、『うがい・手洗いの後にハンドクリームを使う』という習慣の重要性を広く訴えていきたいと考えています。また、日中はこまめにケアできないという方は、就寝前のハンドケアで寝ながら集中ケアする事をおすすめします。」とコメントしています。

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野村 有子

のむら ゆうこ

野村皮膚科医院院長

医学博士。慶応義塾大学医学部卒。同大学医学部皮膚科助手を経て、神奈川県警友会けいゆう病院皮膚科勤務。日本皮膚科学会会員。神奈川県皮膚科医会幹事。

1998年より横浜市に野村皮膚科医院を開業。アトピー性皮膚炎患者専用治療室の設置や最新の肌診断機械の導入などが評判になる。わかりやすい丁寧な指導が評判の関東屈指の人気皮膚科医。アトピー性皮膚炎や乾燥性湿疹を中心に、男女を問わず幅広い年代の皮膚疾患の診断、治療を行っている。



 


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