2.物件のポイント

 続いてスコアリング審査における購入物件のポイントですが、こちらは大きく2つあります。

① 担保倍率
② 返済比率

 ちょっと詳しく説明していきましょう。

 ①の「担保倍率」とは、担保評価額に対する借入金額の倍率です。住宅ローンの場合、銀行は購入物件を担保に取り、債務者が返済不能に陥ったら担保物件を売却して回収を図ります。
 その時の回収金額を審査時に試算しています。この担保評価額が実際に借り入れる金額に対して、どの程度の乖離があるかでスコアが変動していきます。

 新築や築浅の物件は購入価格の70~80%くらいに担保価格が収まることが多いですが、中古物件を高値で購入すると担保価格との乖離が大きくなる可能性があります。

 こちらも銀行によって違いますが、借入金額が担保評価額の2.5~3.0倍程度までは許容する基準を持っているところが多いように思います。
 例えば3,000万円の借入に対して2,400万円の担保評価であれば、借入金額は1.25倍になりますので、この基準をクリアすることになります。
 古い物件ほど担保価格は下がりますので、この乖離は大きくなる傾向があります。


 ②の「返済比率」とは、現在の年収のうち、住宅ローンの元利金返済割合がどの程度になるかという指標になります。銀行は借入金額と年数に所定の金利条件を設定して、年間の返済額を算出します。この返済額が年収の一定割合を超えるとスコアが棄損する仕組みになっています。

 否決のラインはおおよそ35%~45%とする銀行が多いように思われます。ちなみに所定の金利条件とは私の経験上4%という極めて保守的な水準で審査をしています。
 例えば年収500万円、35年ローンで金利4%、返済比率35%を上限とすると、実際に借りることが出来る金額は3,000万円程度になります。
 これはネットの返済シミュレーションや関数付きの電卓、ExcelのPMT関数でも計算することが出来ます。是非参考にしてください。
 返済金額には自動車ローンやカードローンの返済も含んで計算しますので、実際の審査に入る前に返済しておくと、審査において若干有利になるかもしれません。

 以上が住宅ローンのスコアリング審査の主なポイントです。
 この他にも定性面の評価である「個人信用情報」の審査も重要になります。また、団体信用生命保険の加入も前提条件になりますので、健康面の審査もあることになります。
 これらをめでたく通過するとスコアリング審査になり、一定のポイント以上になると見事「審査承認」となるわけです。

 

Ⅲ.まとめ

以上、長々説明してしまいましたが、スコアリング審査で有利な点をまとめると以下の5つとなります。

① 良い会社に勤めている
② あまり転職していない
③ そこそこの給料をもらっている
④ 新築もしくは築浅物件を購入する
⑤ 身の丈にあった借入金額である

 これらの点からどれだけ離れているかをスコアを用いて判定しているという仕組みです。
 繰り返しますが、極めて機械的な審査ですので恣意性や担当銀行員の「腕」みたいなものは基本的には介在できません。また、勘のいい方はお気づきのように、スコアリング審査は「まじめな大企業勤めのサラリーマンが新築物件を購入する」という前提で作られています。
 ですので、中小企業の社長が取引銀行の住宅ローンが否決になったり、芸能人やスポーツ選手がなかなか自宅を購入できなかったりすることが起こります。

 住宅ローンを検討されている方は、こういった審査ポイントを念頭に置いて御自身の条件を考えてみてはいかがでしょうか。


金融アスペ君/金主部所属
ファンドバブルを乗りこなした銀行員。数千の債務と数兆のお金の間で暮らしています。俺のスプレッドはかんなくずより薄い。住宅ローンは漢の変動・35年。