「歴史」とはいったい誰の解釈が正しいのか?安倍首相は「歴史は歴史家が判断すべき」と語った。その点をふまえて、日本と海外の、政治家と文化人の、歴史認識の差異について、保守主義者・作家 適菜収さんと共産主義者・衆議院議員 清水忠史さんに語り合ってもらった。(『日本共産党 政権奪取の条件』適菜収、清水忠史/KKベストセラーズ より)

■歴史認識について

 

清水  大阪も辛坊治郎氏のような極端な主張をする人がテレビに出ていて、残念ながら影響力が小さくない。『そこまで言って委員会』もそうですが。作家の百田尚樹氏は大阪ではあまりウケていないですね。大阪の人もテレビに出ているから見ているだけで、『永遠の0』を書いた人というたら、ああというくらいではないですか。

適菜  最近はネトウヨに毛が生えたくらいの物書きが多いでしょう。某メルヘン作家に関しては毛さえ生えていませんが。百田は『日本国紀』といういかがわしい本を出していましたね。間違いだらけで、出典文献も一切なく、剽窃も多くて話題になりました。ウィキペディア、新聞記事や関連書籍、ネット上のまとめ記事からもコピペで無断引用していたという。ルイス・フロイス(一五三二〜九七年)とフランシスコ・ザビエル(一五〇六頃〜五二年)を取り違えていることを指摘された百田は完全に開き直って「大したミスじゃない。ど
っちにしても外人や」と。百田は『日本国紀』に書かれていることはすべて事実と言っていましたが、こんな感覚で書かれた事故本を読んだら、日本史の試験は赤点です。

清水  受験生にとってはいい迷惑ですね。

適菜  私は言論の自由は絶対に守るべきだと思っています。百田の思想がどれだけ歪んでいたとしても、その言論活動は守らなければいけない。それを阻害する動きがあれば、私は百田の側に立って戦います。しかし、世の中にデマを垂れ流す自由はありません。あれだけデタラメな本を市場にばらまいておいて回収もしないのはテロに等しい。あれを読んで、間違った知識を植え付けられた人はどうするのでしょうか。

清水  安倍の歴史観も歪んでいます。安倍は、あの戦争が侵略戦争だったかどうかは、後世の歴史家が判断すると言いますが、「戦後、何年たってんねん」と思います。敗戦直後にそのセリフを言うなら許容範囲ですが、戦後七〇年以上たって、戦争の性格について彼は答えないわけです。外務省や内閣府が編纂した資料には、侵略戦争だったと書いてありますし、そもそも、ポツダム宣言に世界征服のための戦争だったと記述されているわけです。それを受諾しているわけですからね。