「人類の残された時間はあと100年」。ホーキング博士の言葉である。人類発展のためにも軍隊はなくならなければならないと、保守主義者・作家 適菜収さんと共産主義者・衆議院議員 清水忠史さんは語る。(『日本共産党 政権奪取の条件』適菜収、清水忠史/KKベストセラーズ より)

軍隊はなくなる?

 

適菜  清水さんや日本共産党の考えは、最終的には軍隊はなくなったほうがいいと?

清水  究極ですね。これは、適菜さんのいう長期的なスパンの話に近くて、五〇〇年、一〇〇〇年の話かもしれない。

適菜  軍隊は必ずなくなります。その前に人類が滅びますから。

清水  いや、違う。逆なんです。僕は今の資本主義で人類は終わりとは思ってなくて、地球環境の保全や格差の問題を解決していくためには今の資本主義を乗り越えていくことが大切だと思う。国同士がいがみ合うのをなくすのは、それこそ長い時間がかかります。でも、僕は人類は発展していくと思っているので、国同士が争うための軍隊はなくなっていくと。

適菜  それはかなり疑問ですね。そうなればより巨大な権力機構が発生するだけです。それこそ世界政府という究極のディストピアです。過去を振り返ってみても、人間の精神が進化するなんて明らかな嘘でしょう。コンスタンティヌス帝(二七〇年代〜三三七年)が、三一三年にミラノ勅令を出して、ローマ帝国におけるキリスト教を公認しましたが、その後のキリスト教の国教化により、人類の知的伝統が破壊されるわけです。世界最高の知性を集結したアレクサンドリア図書館もキリスト教徒に焼き討ちにされた。古代ローマには高度な技術がありましたが、キリスト教の拡大により、人類は暗黒の時代を迎えることになる。ルネサンスにおいてイスラム経由で古代の知が見直されるようになりましたが、結局、近代啓蒙思想により、再び人類は闇の世界に落ち込んでいったわけです。人間の精神が進化しているなら、安倍なんか支持されるわけがないじゃないですか。社会が病んでいれば、人間は加速度的に劣化していく。

清水  でも、昔は封建制で、不作のときにも年貢を強要され、娘を売らなきゃならないというような苦労にさいなまれてた。それが崩壊した。戦前は女性の選挙権はなかったですよ。立候補する権利もなかった。

適菜  それを言うなら、まさに近代資本主義と近代国家システムの話になる。近代国家は国民が平等であるという、唯一神教に由来する幻想により成立しているわけですから。前近代を崩壊させたのは、ネイション‐ステイトという概念と総力戦ですよ。

清水  家父長制も絶対主義天皇制も変化してきている。支配する側も巧みに手を変え、品を替え、やってきている。そういう点では、教育とメディアが支配する側の権力を維持しようとしている。だから、主権者教育も含めて、きちんとモノを見るようにしていけば、希望は生まれると思うんです。今の貨幣制度だって、昔は物々交換していたわけです。それで、生きてるヤギを連れていったら途中で死んでしまったり。そのうち、金と銀で交換するようになったり、今は電子マネーもありますが、貨幣制度を、未来永劫、維持・継続できるのかと。これは五〇年、一〇〇年のスパンちゃいますよ。五〇〇年、一〇〇〇年の考えですけれども。

適菜  もちろん長いスパンで考えなければなりませんが、政治家は同時に今現在を考えないといけない。だいたいあと一〇〇〇年も人間は持たないですよ。理論物理学者のスティーヴン・ホーキング博士(一九四二〜二〇一八年)は、「人類に残された時間はあと一〇〇年」と繰り返し言っていましたが。