デベロッパーの現役営業マンに聞いてみよう

 初めまして。不動産業界のプロ集団「全宅ツイ(全国宅地建物取引ツイッタラー協会)」所属・不動産ツイッタラーのなめ茸と申します。
 新築分譲マンションを取扱うデベロッパーの営業部に所属しており、普段はマンションのモデルルームの運営業務を担っています。
 平たく言えば、モデルルームの店長さんのような立場です。

 このような仕事をしていると、プライベートでも知人等から「いいマンションを紹介してほしい」「いいマンションを見つけたけど、お得に値引く方法はないか」など相談を受けることがあります。
 おいそれとどんなマンションでも思い通りに値引けるような魔法の方法はありませんが、私も業界歴がそこそこ長くなり、経験上「値引きを行っているマンション/行いそうなマンション」は見分けがつくようになってきました。

 今回、マンションに関連する記事を執筆する機会を頂いたので、せっかくですからこの『値引きを行うマンションの見分け方』について、“中の人”の立場から(本業に影響が出ない範囲で)お伝えしようと思います。

 今まさに家探しをしている方などの、参考になれば幸いです。

 

01|値引きが行われる仕組み

 「値引きをする/しない」の判断が行われる仕組みを知ることで、後に説明する「値引くマンションの見分け方」が理解しやすくなりますので、まずは、この背景構造について説明します。

 売主であるデベロッパーにとって値引きとは「損切り」の性格を持ちます。すなわち、売主が最初に定価をベースにして組み立てた収支計画を悪化させる要因が発生し、それが多少の値引きによって食い止められるのであれば、両方のコストを天秤にかけた上で容認するという意思決定の手順になるのです。

 では収支を悪化させる要因とは何か。
 それはまさに「時間経過によるコスト」です。

 マンションの販売には様々な経費がかかります。モデルルームを作る費用、モデルルームの土地の賃料、お客様を呼び続けるための広告宣伝費、販売上の人件費や雑費など…。
 マンションが完成してもまだ販売を続けなければいけない場合、上記に加えて一部屋毎の固定資産税や、管理修繕費等の負担も加わります。完成時の販売在庫の数が多ければ多いほど、これらの負担も大きくなるのです。

 マンション販売は、この「価格設定による売上」と「時間経過によるコスト」、2つの間の利益で成り立っています。

 販売不振により時間コストが増加し、売上を逼迫するのが見えている場合、売主が取る選択肢は2つです。
 「価格を上げて更なる販売不振を招きながらも、上昇した売上でカバーする」か「値引きをしてコストを抑えて損切りをする」です。

 一部の企業を除いて大概のマンションデベロッパーは、後者を選びます。
 こうしてやむなく値引きの判断が行われるのです。

 この仕組みを理解したうえで、次項に進みましょう。

 

 

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