十数年、年間パスポートで東京ディズニーリゾートに通うディズニーリゾートの達人・みっこ氏の最新作『ディズニーがもっと楽しくなる 魔法のトリビア』。知る人ぞ知るトリビアが100以上紹介されているが、それでも入りきらなかった未収録なネタをこちらで掲載していきます。今回はキャストたちが着用している服へのこだわりについて。
 

 

西部開拓時代が創り上げた現代のファッション。

 ランドに広がる個性的なテーマランドは、その名前や背景に合ったアトラクションやレストラン、ショップが並びます。これらはその時代背景にあった外観を似せるだけではなく、具体的な歴史があるものから想像の世界など、実に様々です。

 そんな中、西部開拓時代のアメリカが再現されたエリアがウエスタンランド。古ぼけた建物や幌馬車、カントリーミュージックや赤茶色に塗られた地面が当時の雰囲気をよく再現しています。そんなパークの風景には現代のファッションの基礎となったものがさりげなく隠れています。それは「ジーンズ」。

 パークを楽しむ上でも、気取らず、それでいてお洒落もできる、優れもののジーンズ。このジーンズですが、実はその由来となるものをこのウエスタンランドで見る事ができます。

 ここウエスタンランドはゴールドラッシュに沸いた1849年以降の西部開拓時代の街が舞台。一攫千金を夢見て、大勢の人々がこの地に向かいました。しかしながら、当時はまだ長時間の移動や金鉱での作業用に適したズボンがなかったのです。

 そんな彼らに救いの手をさしのべた人物。それが「ジーンズの父」とも言われる「リーバイ・ストラウス」。こちらは広く名の知れたジーンズメーカー「リーバイス」の創設者。

 彼はゴールドラッシュで集まった人々に注目。それまで使われていた、弱かったズボンの素材から、テントや場所の「幌」に使われている、「強くて丈夫な素材」を使ってパンツを作ったのです。リーバイスの日本法人公式サイトにはその歴史の一部が書かれています。

 そして単に素材を変えただけでなく、馬上や長い道中でも「鞍ずれ」しにくい様に、全体を細身に仕立てた事は大きな特徴でした。

 面白いのは、当初はこのウエスタンランドで見かける馬車と同じ生地のまま、「白っぽいパンツ」だったのです。そしてその後、「蛇避け」や「虫除け」の効果なども考え、汚れも目立たない染料で染め上げ、現在の様な濃紺のジーンズが出来上がったのです。

 現在のジーンズはラフでもあり、ファッション性もある服装ですが、当時は機能性や安全性、耐久性などを兼ねそえた「実用的な作業着」だったのです。その後はご承知の通り、リーバイスは世界的ブランドとなりました。

 西部開拓時代のゴールドラッシュが残したのは、富と名声だけでなく、私達に慣れ親しんだジーンズもそのひとつだったのですね。

 

田舎の小さな漁村を小さく演出する公衆電話の小さなプレート

 小さな村の小さな漁村、ケープコッド。シーのアメリカンウォーターフロントの一部にある、ご存知小さな漁村です。この村唯一のショップである「アーントペグス・ペグス・ヴィレッジストア」の隣にはトイレがあり、その脇にはゲストが実際に使える公衆電話があります。

 そしてこの電話機がある場所の上には、「小さな電話の形のプレート」がついています。パーク内のこうした色々なマークは、年齢性別国籍を問わず、見ただけでそれが何であるかを視認できるユニバーサルデザインになっていますが、パーク内のこうしたデザインのセンスは非常によくできています。

 そんなこの公衆電話の小さなプレートですが、円形のマークの周りに書かれている小さな文字にご注目。誰も気にしない細かな所ですが、ここには「NARAGANSETT BAY TELEPHONE AND TELEGRAPH CO.(ナラガンセット湾電信電話会社)」と書かれています。ここはケープコッドのはずですが…?
実はこのナラガンセット湾とは、ケープコットがあるマサチューセッツ州の「お隣」の州、ロードアイランド州に実在する地名です。州全体としては小さいですが、湾の北側には州最大の都市であるプロビデンス市があり、「アメリカで初めて工業化を果たした都市」で、「都会」の地域です。

 実在するケープコッドはこの湾の東側に位置していますが、これは「当時の田舎の漁村だったケープコッドには電話会社が存在していなかった」ために、「都市圏の電話会社から電話線を引いてきている」と言う物語があるためです。

 更にこのプレートの右下には、ペンシルバニア州にある看板会社「PUNXFUTAWNEY PORCELAIN SIGN CO.(パンクサトーニー ポーセリン サインカンパニー)」が作ったプレートと書かれています。

 一見何の変哲もない様に思えますが、「電話会社はお隣の州」、この看板を作った「看板会社は更にまた別の州」…という距離的な概念をここに記す事で、田舎の小さな漁村を演出している意図があるのかもしれませんね。
現代では携帯電話が普及して公衆電話の利用率も急激に低下しており、公衆電話を使う方も少なくなってきています。そんな中、誰もが気にしないこんな小さなプレートにまで小さな物語が隠れているパークのこだわりを感じますね。