3年前、NHK「シブ5時」リポーターだった元NHKアナウンサーが違法薬物で逮捕され、NHKをクビになった。当事者である塚本堅一氏が2019年になって、当時を回顧する(『僕が違法薬物で逮捕されNHKをクビになった話』著者/塚本堅一 まえがきより)
 

 NHKアナウンサーとして、夕方のニュース番組のリポーターをしていました。でも、3年前に違法薬物の所持・製造の罪で逮捕されました。

 最近、こんな自己紹介をしても、だいたいの人が「そんなことあったっけ?」という反応です。

 覚えていない人の方が圧倒的に多いかもしれません。私は、13 年間NHKでアナウンサーをしていましたが、そのほとんどが地方局の勤務だったので、知名度はゼロ。それでも事件当初は、渋谷のNHKの中に麻薬取締官が捜査に立ち入ったり、国会でNHKの会長が追及を受けたりして、結構なニュースになったものでした。

 その大騒動を引き起こした、諸悪の根源が私です。

 東京湾岸警察署におよそ30日間勾留され、麻薬取締官から取り調べを受けました。最終的に、罰金50万円の略式判決を受けて事件は終わります。もちろんNHKは解雇されました。気持ちを入れ替えて次の仕事を探したものの、当然うまくいきません。人と話したくない、電車に乗れない、店に入れない、外に出られないと、段々日常生活の中で出来ないことが増えていきます。

 そうしてうつになったのは、自業自得で自然の流れだったのかもしれません。

 自分で招いた困難は、自分で解決すると頑張ったものの、ダメだったのです。

 ようやく繋がることができた精神科で、驚くべき治療法が提示されます。依存症の回復施設に入ることを勧められたのです。私自身は依存症ではないのに、依存症の施設に入る……。不安は山ほどありましたが、どこか潜入取材のような気持ちで、依存症の回復施設の門を叩きます。