ミイラといえばエジプトだが、中南米の国々にも独特のミイラ文化が形成されてきた。今回は、世界でも類を見ない“ミイラを見世物にする”メキシコの博物館を紹介する…。(『教養としてのミイラ図鑑―世界一奇妙な「永遠の命」』(KKベストセラーズ)より)

 南米のアンデス山脈が連なる太平洋沿岸部や、現在のメキシコ南部以南の地域には極端な乾燥砂漠地帯もあり、遺体が自然にミイラ化した。同時にそこでは古代からミイラ文化も芽生え、独特の埋葬習慣が形成された。

■メキシコ・グアナファトにある驚愕のミイラ博物館

美しい歴史的な市街地と近辺の銀山は、ユネスコの世界遺産にも登録されているグアナファトの風景。

 ユネスコの世界遺産にも登録される、中米メキシコ砂漠地帯の美しい街グアナファトには、ミイラ博物館というものがある。埋葬税を支払えなかった遺体が、ミイラ化した後に掘り起こされ、見世物とされるうちにミイラ博物館として誕生したのだ。

 

そのまま埋葬すれば自然乾燥のミイラが出来上がる

 中米メキシコのグアナファトには、世界でも珍しいミイラ博物館というのがある。60ペソを払って入場すると、中には約2 0 0 体と言われる様々なミイラたちが迎えてくれるのだ。ミイラたちはだいたい1 8 70 年から1 9 58 年頃に亡くなった人々とされるから、長いミイラ史の中では極めて最近の存在といえるだろう。

 

 実はこの博物館、もともとはこの辺りで亡くなった者たちのお墓だったという。極端に乾燥した砂漠気候のこの地では、亡くなった人々の遺体は土葬され、天然のミイラとなってしまうのだ。

 この地では亡くなると3年間は無料で墓地に埋葬してもらえるが、埋葬税を納めていないと、5年後に墓から掘り起こされてしまうというシステムなのだ。

 そして1900年頃になると墓地で働いていた人々が、ミイラを見たがる人達からお金を徴収しだした。それがこの博物館誕生の由来というから、何とも商魂たくましい話である。

メキシコのグアナファトにあった墓地では、埋葬税を払えなかった貧しい者たちのミイラが展示され、現在ミイラ博物館となっている。