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吉本興業は腐った日本の縮図である

宮迫・亮会見事件前に近著『日本共産党 政権奪取の条件』で実は予言していた。

 

 ■宮迫博之、田村亮が暴き出したもの

 お笑いの町・大阪が笑えない状況になっている。

 吉本興業の芸人と振り込め詐欺グループのつながりに端を発する一連の騒動。「闇営業」にかかわった芸人がロクでもないのは当然だが、直接関係のない芸人たちが口をはさんだり、この機に乗じて社内で権力闘争を始める芸人が出てきたり、会社側が怒鳴り散らしたり、猫なで声を出したり、混沌としてきた。

 単なる芸人の不正と会社のコンプライアンスの問題のようにも見えるが、この騒動が注目を集めた理由は、今の社会の閉塞感にあるのではないか?

 つまり、「誰かが不正に儲けているのではないか」「われわれは搾取されているのではないか」「お金が真っ当な形で社会をまわっていないのではないか」という疑念である。

 逆に言えば、ここ10年くらいの間、大阪で発生している状況は、劣化していく日本の縮図であり、その大阪の縮図が吉本なのである。

 吉本は官邸や大阪維新の会とべったり癒着している。今年4月、安倍晋三は「なんばグランド花月」で新喜劇に登場。その蜜月ぶりを隠そうともしなかった。安倍政権の成長戦略の目玉として設立された官民ファンド「クールジャパン機構」は、吉本関連の事業に多額の税金を投入しているが、赤字が続いているのにもかかわらず、4月には100億円の出資が決まった。今年6月には吉本興業の大崎洋会長が、沖縄の米軍基地跡地の利用に関する政府の有識者懇談会メンバーに選ばれている。基地の跡地はカジノ誘致の有力候補地であるという。

 2017年、維新の会と大阪市は包括連携協定を結んでいる。これに絡むイベントにカネを流しているのもクールジャパン機構だ。吉本は2025年の大阪万博に食い込み、万博誘致アンバサダーに所属芸人を送り込んだ。

 先述の振り込め詐欺グループも100億円を荒稼ぎしていたが、問題のある企業に100億円が流されるのも、庶民感覚では理解できない。

 私は吉本の事情をよく知る衆議院議員で日本共産党大阪府委員会副委員長の清水忠史氏と大阪で何が発生しているかについて語り合い、『日本共産党政権奪取の条件』(KKベストセラーズ)にまとめた。なお、清水氏は松竹芸能に所属していた元芸人で、漫才コンビ「ツインタワー」の片割れである。

KEYWORDS:

『日本共産党 政権奪取の条件』
適菜 収、清水 忠史

 

日本共産党とは相いれない部分も多い。
私は、共産主義も新自由主義と同様、近代が生み出した病の一環であると考えているからだ。
日本共産党が政権を取る日は来るのか?
本書で述べるようにいくつかの条件をクリアしない限り、国民の信頼を集めるのは難しいと思う。
そこで、私の失礼な質問にも、やさしく、面白く、かつ的確に応えてくれる
衆議院議員で日本共産党大阪府委員会副委員長の清水忠史さんと
わが国の現状とその打開策について語った。
――――保守主義者・作家 適菜 収

 

作家・適菜収氏との対談は刺激的であった。
保守的な論壇人としてのイメージが強く、共産主義に対して辛辣な意見を包み隠さず発信してきた方だけに、本当に対談が成り立つのだろうか、ともすればお互いの主張のみをぶつけ合うだけのすれ違いの議論に終始してしまうのではないかと身構えたのだが、それは杞憂に終わった。
――――共産主義者・衆議院議員 清水忠史

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適菜 収

てきな おさむ

1975年山梨県生まれ。作家。ニーチェの代表作『アンチクリスト』を現代語にした『キリスト教は邪教です!』、『ゲーテの警告 日本を滅ぼす「B層」の正体』、『ニーチェの警鐘 日本を蝕む「B層」の害毒』、『ミシマの警告 保守を偽装するB層の害毒』、『小林秀雄の警告 近代はなぜ暴走したのか?」(以上、講談社+α新書)、呉智英との共著『愚民文明の暴走』(講談社)、中野剛志との共著『思想の免疫力 賢者はいかにして危機を乗り越えたか』、『遅読術』、『安倍でもわかる政治思想入門』、『日本をダメにした新B層の研究』(KKベストセラーズ)、『ニッポンを蝕む全体主義』『安倍晋三の正体』(祥伝社新書)など著書50冊以上。「適菜収のメールマガジン」も好評。https://foomii.com/00171

 

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  • 適菜収×清水忠史
  • 2019.07.08