■自分をどうしても受け入れられず

 就活での書類選考がなかなか通らない。こぎつけた第1次面接では、Cさんは人柄がよかったためにそれなりの好感触はあったのですが、自己PRがうまくできないという欠点があったため、第2次面接まではいけないことが多く、トータルで200社もの会社を訪問しましたが、結果は全滅。いわゆる「就職浪人」となり、翌年、就職活動に再チャレンジします。

 就職浪人2年目となった際には、面接官から冷ややかな態度で通り一遍のことしか聞かれず、もともと自己PRがうまくできないCさんは黙り込んでしまいました。Cさんは以後、会社への「エントリーシート」を出すことはなく、就職活動をやめてしまいました。

 Cさんは心が折れたまま、生活のために仕方なくアルバイトを転々とします。

 正社員ではない自分をどうしても受け入れられず、アルバイトの扱いに嫌気がさし、徐々にひきこもるようになっていきました。

 Cさんは、年収500万円以上の正社員の求人広告を中心にネット検索を続けます。かといって、見つけた会社にアプローチする気力はなく、ただ求人サイトを探るまた親元で暮らしているために、生活に困るということはありませんでした(この困らない環境こそが、実はよくない結果を招いてしまうケースが少なくないのですが)。

 

 気づけば14年が過ぎ、完全な「大人のひきこもり」状態です。

 その14年の間、「自分は発達障害ではないか」と考えたことがありました。しかし診断は発達障害ではないという結果でした(実は発達障害はグレーゾーンの場合、明らかにその傾向が出ているにもかかわらず、発達障害と診断されないケースがあります)。

 またCさんは母親に勧められて、「ひきこもりの支援団体」を訪れたこともありました。月に一度、支援団体の担当者がCさん宅を訪れるようになり、Cさんとその担当者とはとても気が合い、その時は気力が湧わ いてくるような気持ちになったのだそうです。

 ところが、行政の規定により1年間で別の担当者に変更となってしまいました。次の担当者とは気が合わなかったことから、それ以来、訪問を断るようになり、支援団体との関わりをやめてしまいました。

 就職氷河期世代のひきこもりにありがちなのは、最初から正社員を目指してしまうこと。発達障害の方は完璧主義な面が強すぎて「正社員でなければ意味がない」と決めつけてしまいます。融ゆう通ずうが利かないのです。

 理想が高いことは一見いいように思えるかもしれませんが、結局、何も変わらない状態が続くのであればまったく意味のないことです。臨機応変に社会と関わっていくことが今の時代にふさわしいと考えます。