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ラグビーでも必要な“多動力”。強いチームほどポジションの壁は溶けている

「ラグビーのオモロイ観方」第4回

■「キャプテン」の仕事は分散化

大西 進化していますよ。「ポジションの垣根がなくなっている」という話では「キャプテン」というポジションもそうです。

福田 ほう…というと?

 

大西 監督が試合中、選手に直接指示が出来ないラグビーでは、キャプテンに大きな権限が与えられています。監督の意をくみながら、選手たちに指示を出す。そしてレフリーとの交渉もする。これまでは、その役目をひとりの圧倒的カリスマ性を持つ選手がつとめていましたが、現在は複数の選手に分散させる流れになっています。

福田 なるほど…ラグビーのキャプテンって大変そうだな。キツそうだから仕事をシェアするのはいいですね。ビジネスの働き方改革でも、そういう流れがあるし。

大西 社会全体の流れとも通じますよね。結局、ぼく自身の選手経験を振り返っても、キャプテンひとりに任せきりになるチームはいい結果が出ない。

 逆に、世界最強といわれるニュージーランド代表などは分散化がすすんでいるんです。「リーダーシップグループ」というのを作って、複数の選手たちが、監督の戦術・戦略を他の選手たちに伝えている。あるいは、その逆で選手たちの意見を上に伝えたりする。エディージョーンズHC率いるイングランド代表も、キャプテンのポジションに、数人の選手を置いています。

福田 へ~強いチームほど、分散しているっていうのが面白い! ラグビーのポジションって奥が深いです。

(第5回につづく)

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大西 将太郎

おおにし しょうたろう

ラグビー元日本代表、解説者。

地元東大阪市の布施ラグビースクールでラグビーを始め、啓光学園高3年で全国高校大会準優勝。高校日本代表では主将を務め、スコットランド遠征全勝の快挙を達成。ジャパンラグビートップリーグ(リーグ戦)は通算143試合に出場。2007~08シーズンは「ベスト15」、「得点王」、「ベストキッカー賞」の三冠に輝く。日本代表には同志社大4年時(2000年)に初選出、以降、2008年のサモア戦まで通算33キャップ(試合)に出場。2007年ワールドカップフランス大会のカナダ戦では終了直前に同点ゴールを決め、12-12と引き分けながらも日本代表のワールドカップ連敗記録を13で止めた。 2016年現役引退。現在はJSPORTSやWOWOWのラグビー解説者として、また2019年ラグビーワールドカップの認知活動および、ラグビーの普及活動のため全国をまわっている。


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