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義務教育の「義務」とは何への義務か(前編)

中学生の7人に1人が不登校

■中学生の7人に1人は学校に行きたくない

 

 わが国の義務教育が揺らいでいます。

 学校に行かない、ないし行きたくない子どもが増えているのです。

 文部科学省の推定によれば、不登校、すなわち年間に30日以上学校を欠席する生徒の数は、全国で約10万人。

 ところが、これは氷山の一角にすぎないらしい。

 日本財団が昨年12月に発表した調査結果によれば、この10万人以外に、「不登校傾向」にある生徒が、全国で約33万人いると推定されるのです。

 33万人といえば、全中学生の10%にあたる数字。

 これに不登校の10万人を加えると、比率は13.3%となります。

 中学生の7人に1人ぐらいは、不登校か、その傾向があるのです!

(参考:https://www.nipponfoundation.or.jp/app/uploads/2019/01/new_inf_201811212_01.pdf

 ならば「不登校傾向」とはいかなるものか?

 財団による定義は以下の通り。

(1)不登校二型・・・1週間以上、連続して学校に行かないことがある生徒。
(2)教室外登校・・・学校には行くものの、校門、保健室、校長室、図書室などにいて教室に行かない状態が、月2〜3回以上か、連続1週間以上生じる生徒。
(3)部分登校・・・基本的には教室にいるものの、給食だけが目的とか、遅
刻・早退が多かったり、1日に何度も保健室に行ったりするなどして、あまり
授業に参加しない状態が、1ヶ月に5日以上生じる生徒。
(4)仮面登校A・・・基本的には教室にいるが、他の生徒とは違うことをしていて授業に参加しない状態が、月2〜3回以上か、連続1週間以上生じる生徒。
(5)仮面登校B・・・基本的には教室にいるし、とりあえず授業に参加もしているが、学校がつらい、学校がイヤだ、学校に通いたくないと感じている生徒。
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佐藤 健志

さとう けんじ

佐藤健志(さとう・けんじ)
 1966年、東京生まれ。評論家・作家。東京大学教養学部卒業。
 1989年、戯曲『ブロークン・ジャパニーズ』で、文化庁舞台芸術創作奨励特別賞を当時の最年少で受賞。1990年、最初の単行本となる小説『チングー・韓国の友人』(新潮社)を刊行した。
 1992年の『ゴジラとヤマトとぼくらの民主主義』(文藝春秋)より、作劇術の観点から時代や社会を分析する独自の評論活動を展開。これは21世紀に入り、政治、経済、歴史、思想、文化などの多角的な切り口を融合した、戦後日本、さらには近代日本の本質をめぐる体系的探求へと成熟する。
 主著に『平和主義は貧困への道』(KKベストセラーズ)、『右の売国、左の亡国 2020s ファイナルカット』(経営科学出版)、『僕たちは戦後史を知らない』(祥伝社)、『バラバラ殺人の文明論』(PHP研究所)、『夢見られた近代』(NTT出版)、『本格保守宣言』(新潮新書)など。共著に『対論「炎上」日本のメカニズム』(文春新書)、『国家のツジツマ』( VNC)、訳書に『[新訳]フランス革命の省察 「保守主義の父」かく語りき』( PHP研究所)、『コモン・センス 完全版』(同)がある。『[新訳]フランス革命の省察 「保守主義の父」かく語りき』は2020年12月、文庫版としてリニューアルされた(PHP文庫。解説=中野剛志氏)。
 2019年いらい、経営科学出版よりオンライン講座を配信。『痛快! 戦後ニッポンの正体』全3巻に続き、現在は『佐藤健志のニッポン崩壊の研究』全3巻が制作されている。

 

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  • 2018.09.15