高市内閣誕生でついに底が抜けた「サヨクの劣化」と「フェミニスト・リベラルの幼稚さ」【仲正昌樹】

私は、「複雑な気持ちです」という言い方が嫌いだ。自分を、考えが深いがゆえに悩んでいるようにアピールする言い方に聞こえるからだ。しかし、今度の高市内閣誕生に対しては、「複雑な気持ち」としか言いようのない気分になっている。私には、高市氏の憲法改正・愛国心路線、特に国旗損壊罪のようなものは受け入れがたい。しかし今回は、同氏を安倍元首相に代わる諸悪の根源のように見なして陰謀論を語ったり、初の女性首相の誕生であるにもかかわらず、それを素直に喜べず、無理やりけちをつけるといったリベラル側の幼稚さがあまりにも目に付いた。彼らのひどさを目にすると、相対的に、高市氏を支持しているかのような気分になってしまうことがある。そういう意味で「複雑な気持ち」になっている人は少なくないのではないか。露呈した“リベラル”の幼稚さについて考えてみた。
私は、安倍さんや高市さんを批判しすぎるな、と言っているのではない。批判の中身が問題だ、というより、批判ではなくて、ただの思い込みによる難癖、悪口でしかない、ということだ。安倍政権の頃からそういう傾向があったが、多少は、個人の人格を誹謗するではなく、政策を批判しているように装っていたが、参議院選挙以降、リベラル・左派陣営は“批判”の方向性を見失い、個人に対する好き嫌い、メディアで出来上がった印象だけで非合理的に反応する態度が露わになったように思う。
多くの人が感じたことだろうが、参議院選挙後、自民党内で石破前首相に責任を取って退陣するよう求める声が高まる中で、左派やマスコミから「石破やめるな!」コールが起こったのは異様だった。どうしてほんの少し前まで打倒しようとしていた自民党政権の延命を望むのか? 特に、政権交替を目指して政権を徹底的に批判していた立民、社民、共産などが、政権が存続するのを前提に、石破氏を守ろうとしたのは異様だった。「石破やめるな!」デモが何度か行われたが、ポスターの描き方やシュプレヒコールのあげ方など、明らかに、保守ではなく、左翼的なノリのものだった。
率直な疑問として、彼らが石破氏がそんなにすぐれたリーダーだと思うのなら、どうして自民党を辞めて、左派政党連合のリーダーとして改めて首相になってくれと頼まなかったのか。あるいは、石破氏が本当に話が分かる人だと思うなら、首班を現野党に譲って連立政権を組もうと呼びかけなかったのか。
彼が他の自民党の有力者より望ましいのは何故かも不明確だった。彼が「裏金議員」よりも清潔だという意見もあったが、石破氏にも政治資金の不記載は見つかっている。「裏金」と言っても、別に統一教会等からの裏献金や闇の商売で得た金ではなく、政治資金パーティーで得た政治献金をどう会計処理するかという話だから、基本は石破氏や立憲、れいわの議員の不記載と同じだ。「歴史認識」や「憲法観」がまともだと言う人たちもいるが、別に石破氏自身が自民党にはありえないような独自の見解を示したということではなく、安倍元首相や高市氏等のタカ派的な発言に対抗して、時折リベラルっぽく聞こえることを言っているという程度である。自民党の中にいるのが本当におかしいくらいリベラルなら、改憲・集団自衛権反対、徴用工など全ての植民地支配の犠牲者に対する謝罪・補償などを標榜し、自民党からとっくの昔に出て行ったはずだろう。逆に、それくらい反自民党的なのに、自民党にいるとしたら、不健全だろう。
KEYWORDS:
✴︎KKベストセラーズ好評既刊 新装重版✴︎
★初の女性新首相・高市早苗「政治家の原点」がここにある★
『アメリカ大統領の権力のすべて』待望の新装重版
◎民主主義国家の政治をいかに動かし統治すべきか?
◎トランプ大統領と渡り合う対米外交術の極意とは?
★政治家・高市早苗が政治家を志した原点がここにある!
「日本は、国論分裂のままにいたずらに時間を食い、国家意志の決定と表明のタイミングの悪さや宣伝下手が災いし、結果的には世界トップ級の経済的貢献をし、汗も流したにもかかわらず、名誉を失うこととなった。
納税者としては政治の要領の悪さがもどかしく悔しいかぎりである。
私は「国力」というものの要件は経済力」、「軍事力」、そして「政治力」だと考えるが、これらの全てを備えた国家は、現在どこにも存在しない。
(中略)
そして日本では、疑いもなく政治力」がこれからのテーマである。
「日本の政治に足りないものはなんだろう?」情報収集力? 国会の合議能力? 内閣の利害調整能力? 首相のメディア・アピール能力? 国民の権利を保証するマトモな選挙? 国民の参政意識やそれを育む教育制度?
課題は随分ありそうだが、改革の糸口を探る上で、アメリカの政治システムはかなり参考になりそうだ。アメリカの政治にも問題は山とあるが、こと民主主義のプロセスについては、我々が謙虚に学ぶべき点が多いと思っている。
(中略)
本書では、行政府であるホワイトハウスにスポットを当てて同じテーマを追及した。「世界一強い男」が作られていく課程である大統領選挙の様子を描写することによって、大統領になりたい男や大統領になれた男たちの人間としての顔やフッーの国民が寄ってたかって国家の頂点に押し上げていく様をお伝えできるものになったと思う。 I hope you enjoy my book.」
(「はじめに」より抜粋)
◉大前研一氏、推薦!!
「アメリカの大統領は単に米国の最高権力者であるばかりか、世界を支配する帝王となった。本書は、連邦議会立法調査官としてアメリカ政治の現場に接してきた高市さんが、その実態をわかりやすく解説している。」

ALL ABOUT THE U.S. PRESIDENTIAL POWER
How much do you know about the worlds’s most powerful person―the President of the United States of America? This is the way how he wins the Presidential election, and how he rules the White House, his mother country, and the World.



<著者略歴>
高市早苗(たかいち・さなえ)
1961年生まれ、奈良県出身。神戸大学経営学部卒業後、財団法人松下政経塾政治コース5年を修了。87年〜89年の間、パット•シュローダー連邦下院議員のもとで連邦議会立法調査官として働く。帰国後、亜細亜大学・日本経済短期大学専任教員に就任。テレビキャスター、政治評論家としても活躍。93年、第40回衆議院議員総選挙に奈良県全県区から無所属で出馬し、初当選。96年に自由民主党に入党。2006年、第1次安倍内閣で初入閣を果たす。12年、自由民主党政務調査会長に女性として初めて就任。その後、自民党政権下で総務大臣、経済安全保障大臣を経験。2025年10月4日、自民党総裁選立候補3度目にして第29代自由民主党総裁になる。本書は1992年刊行『アメリカ大統領の権力のすべて』を新装重版したものである。
✴︎KKベストセラーズ「日本の総理大臣は語る」シリーズ✴︎


