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15年連続増収を達成する会社が、「パート社員」を大切にする理由

希代の経営者が語る、右肩下がりの時代を生き抜く働き方改革 第1回

社員の健康を守るのも、社長の務め

――武蔵野で「長時間労働の是正」に取り組み始めたきっかけを教えてください。

 今から4年前、私自身が病気になったことがきっかけで会社の方針を180度転換しました。

 正直に白状しますと、かつてのわが社は、超・超・超ブラック企業でした。「社員が遅くまで仕事をするのは当然だ」と思い込んでいた私は、社員の残業を容認していました。

 しかし、病気を機に「社員の心身の健康を考えるのも社長の責務」だと気づき、2015年度の経営計画発表会(社長が今期の経営方針を発表・説明する会)で「月76時間の残業時間を45時間未満にする」という方針を発表しました。私自身、「そうはいっても、実現できるわけがない」と思っていましたが(笑)、あれから2年経った今、わが社の残業時間は、「月17時間」にまで減っています。

――働き方改革の柱のひとつに「同一賃金、同一労働」が掲げられていますが、武蔵野では数年前から、パート社員も含めた待遇改善に取り組まれていますね。

 政府は、パート社員の待遇改善をさらに進めていくでしょう。今後、パート社員の雇用条件は、正社員と同じような水準に近づいていくことが考えられます。だったら「先取りをすればいい」というのが私の考えです。

 そう思ってわが社では、雇用環境をどんどん整えてきました。パートにも賞与を支給していますし、社会保険もきちんとつけて、能力のある人は管理職にしています。

 現在わが社には6名のパート課長がいます。正社員とパート社員の違いは、「雇用形態」による「区別」だけであって、それ以外の「差別」はありません。

――経営サポートパートナー会員企業でも、残業時間削減や非正規雇用者の待遇改善は進んでいますか。

 どの企業も、わが社と同じように残業を減らしたり、パートに賞与を出したり、パートの管理職をつくるなど、さまざまな取り組みを進めています。

 普通の社長は、「いきなり残業を減らすなんて難しい」「賞与を出すのも簡単じゃない」と考えますが、世間の常識は、経営サポートパートナー会員企業の非常識です(笑)。

 どのくらい非常識かというと、武蔵野がコンサルティングをしている650社のうち、500社以上は増収増益、100社は2桁成長しています。

 どの社長も、「今のままでいい」とは思っていません。「前年より売上も利益も上げて、社員を幸せにしたい」と思っている。右肩下りの時代で増収増益を達成できているのは、人を大切にしながら、社員の生産性を上げるための取り組みに注力しているからです。

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小山 昇

こやま のぼる

株式会社武蔵野代表取締役社長。1948年、山梨県生まれ。東京経済大学卒業後、日本サービスマーチャンダイザー株式会社(現在の株式会社武蔵野)に入社。一時期、独立して株式会社ベリーを経営していたが、1987年に株式会社武蔵野に復帰。1989年より社長に就任し、現在に至る。「大卒は2人だけ、それなりの人材しか集まらなかった落ちこぼれ集団」を毎年増収増益の優良企業に育て、日本で初めて「日本経営品質賞」を2度受賞。著書に『強い会社の教科書』『残業ゼロがすべてを解決する』(ともにダイヤモンド社)など多数ある。


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