■消費増税先送りで選挙に大勝

 しかし、そんな崖っぷちのなかで安倍首相が出してきたのが、歴代首相は誰も使ったことがない「消費税増税先送り」という〝サプライズカード〟でした。
 本来ならば消費税8%から10%への引き上げは、2015年10月に予定されていました。けれど、2014年11月18日、安倍首相は消費税引き上げを2017年4月まで先送りにすることを表明し、その5日後の23日に「消費増税延期について国民に信を問う」と衆議院を解散しました。
 信を問うも何も、消費税が上がらないことで不平を言う人など、ほとんどいるはずがありません。こうして2014年の衆院選は、消費税増税後はじめての国政選挙であるにもかかわらず、自民党は公明党と合わせて全議席の3分の2を上回るという圧勝に終わりました。

 

 さらに、参院選を直前に控えた2016年6月1日には、消費税引き上げを2019年10月へと先送りにする再延期を表明し、このときの参院選と同年10月の衆院選にも圧勝。実に安倍首相は〝サプライズカード〟を2回も使用し、3つの国政選挙をすべて勝利に導いてきたのです。

 そして2019年には、4月に統一地方選、7月に参院選という2つの大きな選挙があります。憲法改正を悲願とする安倍政権にとって、この2つの選挙に大勝することが絶対条件です。そこで今回も、安倍首相は「消費税増税先送り」の〝サプライズカード〟を切る可能性が非常に高いと考えられます。

〝サプライズカード〟が十分な効力を発揮するためには、多くの人が「消費税は上がる」と信じ込み、野党も含めた反対運動が盛り上がるという状況が必要です。現在、政府から出てくる増税対策に愚策が多いのは、わざとみんなを混乱させ、〝サプライズカード〟を切りやすくしているように思えてなりません。

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