〝災〟は〝再〟なり |BEST TiMES(ベストタイムズ)

BEST TiMES(ベストタイムズ) | KKベストセラーズ

〝災〟は〝再〟なり

季節と時節でつづる戦国おりおり第355回

■淀殿のお墓参り

 清水寺で発表される「今年の漢字」(公益財団法人日本漢字能力検定協会)。これがあるとああ、年末だなぁ、と実感させられ、1年が過ぎゆく速さに絶句してしまいます。今年は「災」。西日本豪雨、大阪府北部地震、北海道胆振東部地震、台風22号・24号と、まさに息つく間もなく災害が列島を襲い、甚大な被害を与え続けた1年でした。

 先日、とあるライブハウスの帰りに寄った東梅田の太融寺町にある古刹・太融寺もまた、被害に遭ったようです。 

 

 境内に入り、いつものように北西隅にある淀殿のお墓へ。

 

 

 練り塀の上の瓦がやられたようで、ブルーシートが掛けられていました。
大坂夏の陣で自害した淀殿の遺骨は城の北の弁天島(現在の大阪ビジネスパーク辺)に葬られ「淀姫神社」となりましたが、明治に太融寺に移されたということで、100年以上この地で安らかに眠っておられた淀殿もビックリして起きてしまったのではないか、とも思いますが、大坂城陥落・太融寺の大阪大空襲による全焼も経験し、自身の墓石も九輪から六輪に小さくなってしまったという淀殿。

 この程度では眉毛も動かさないかも知れません。

 そう、淀殿も大阪も、何度も災いに遭い、何度もよみがえっているのです。再興するのです。今度は万博で、大阪は〝再〟び輝きます。

KEYWORDS:

オススメ記事

橋場 日月

はしば あきら

はしば・あきら/大阪府出身。古文書などの史料を駆使した独自のアプローチで、新たな史観を浮き彫りにする研究家兼作家。主な著作に『新説桶狭間合戦』(学研)、『地形で読み解く「真田三代」最強の秘密』(朝日新書)、『大判ビジュアル図解 大迫力!写真と絵でわかる日本史』(西東社)など。


この著者の記事一覧