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毎日のチェックで病気を予防する便の見分け方

健康寿命は「腸」で決まる

便の約8割は水分でできている

私たちが日常的に排泄している便。それが腸などの健康状態を示すバロメーターということはよく知られている。だが実際に自分の便を観察しようと思ったときには、どこに着目すればよいのか。
 チェックをするうえで押さえておきたい事柄を、おおたけ消化器内科クリニック院長の大竹真一郎さんにうかがった。
 まず、私たちが日常的に排泄している便とは、どのような成分で構成されているのだろうか。
「大便は固形物のイメージがあるかもしれませんが、実は健康な人の便の8割ほどは水分でできています。残り2割は、小腸の粘膜がはがれ落ちたもの、食物繊維など消化されなかった食物、腸内細菌の死骸の3つで構成されています。ですから食べた物がそのまま便になっているわけではありません。何も食べなくても便は出るのです」。
 腹部の手術などで食事ができず、点滴で栄養補給をしているときにも、便が出るのはこのためだ。

写真を拡大 食べたものが便となって出るまで

「口にした物が最終的に便になって排出されるまでの時間は短ければ10時間程度で、最も長ければ100時間ほど。かなりの幅があります。腸内にとどまっている時間が短いと、水分の吸収が進まず、水分は多めになります。反対に時間が長ければ水分が減っていきます」。
 つまり、便を押し出すスピードが早過ぎると下痢、遅過ぎると便秘になるというわけだ。
 では、便秘というのは、どのような状態を指すのだろうか。
 大竹さんは「実は、医学的には統一された定義はない」と言う。
 日本内科学会と日本消化器病学会では、異なる定義を用いているのが現状なのだ。世界的には、特に大きな疾患がなく便秘や下痢を起こす機能性胃腸障害について「ローマⅢ」という定義が用いられているが、そのまま日本に適用するのは難しい面もある。
「そうした各種の基準を踏まえて、私なりに便秘を定義すると、まず3日以上排便がない状態は便秘といっていいと思います。本来なら、毎日出るのが基本です。さらに、毎日排便があったとしても、あるいは下痢が出ていたとしても、用を足した後にお腹に残便感や腹部膨満感がある場合は、腸内に便が残っているサインです。これも便秘として捉えたほうがよいでしょう」

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