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「異端児」扱いされた世紀末のエアジョーダン。その理由は?【エアジョーダン秘史(15)】

1985年の1stモデルから今なお続くレジェンドバッシュのヒストリー。

NBAのスーパースター、マイケル・ジョーダンのシグニチャーモデルとして生まれた〈AIR JORDAN〉。誕生から30年を超え、その背景や物語を知らずにファッションアイテムの一つとして楽しむ世代も増えてきた。そんな「マイケル・ジョーダンを知らない世代」のためのエアジョーダン基礎講座として、今なお続くナンバリングを順に振り返りながら、歴史を紐解いていきたい。

第15回は、1999年発売の「AIR JORDAN 15」。
アッパーにはケブラーを配合したウーブン素材を採用。これにタンと一体式のインナーブーツを組み合わせることで、快適な足入れ性とフィット感を実現している。ヒールのプラパーツには、MJにまつわる3つの数字——背番号、優勝回数、モデル名が入っている。

 

その斬新すぎるカタチは
シリーズ中もっともアバンギャルド!?

写真を拡大 アウトソールに入る「2・17」は、MJの誕生日。「23」はブルズの永久欠番でもある背番号、「6」はNBAでの優勝回数。そして「15」はモデル名を表す。赤いプラパーツは某ブランドによく似ている!?

アッパーにウーブンを初採用したパフォーマンスシューズ

 AJ15のデザインは、ふたつの“フライヤー(飛ぶもの)”からインスピレーションを受けている。ひとつはこのモデルの主であるMJ、そしてもうひとつは超音速ジェット戦闘機のX-15だ。
 外観上で目を引くのは、大型のヒールカウンターとミッドソールのシャンク。これらを採用することで、がっしりとした安定感を手に入れているが、ソールの屈曲性はかなり損なわれている。
 一方、アッパーには新技術としてケブラーを配合したウーブン素材を使用。ウーブンはもともとカジュアルシューズ用に開発されたものだが、それをパフォーマンスシューズに使ったことは、かなり実験的な意味合い強いだろう。また、口を開いたように見えるメッシュ性のインナーブーツもかなりユニークだ。
 なお、AJ13からデザインを担当してきたティンカー・ハットフィールドは、このモデルを最後にいったんAJのデザインから離れることになる。

 

硬いソールと柔らかいアッパーが特徴的

写真を拡大 オリジナルは2パターン存在。この頃のAJのセオリー通り、Hi(実質的なミッド)とLowで展開。

 戦闘機をモチーフにしたAJ15は、エアロダイナミクスデザインが特徴だ。アウトソールにはヘリンボーンパターンを採用し、中央に大型のシャンクプレートを装備。また、これまでのモデルではヒールカップがシューズの内側に収められていたが、AJ15はそれを外に出し、この部分がプロテクター的な役割を果たすようになっている。非常に硬いソールに対し、アッパーは伸縮素材を使って柔らかく仕上げているのも、このモデルの特徴だ。

シリーズの中でも「異端児」的な扱いに

写真を拡大 オリジナルは'99-'00年にかけてリリース。そして'07年に初の復刻を果たす。

 MJの引退後にリリースされたため、このモデルはコート上ではデレック・アンダーソン、レイ・アレン、マイク・ビビーなど、MJの意志を受け継ぐプレーヤーたちに愛用された。彼らが履いたモデルはシャンクの部分にチームカラーを使っているのが特徴だ。このAJ15は、まずミッドカットがデビューし、続いて同じソールユニットを使ったローカットがデビュー。さらに、これをベースにアッパーをスリッポン仕様にしたジョーダンモックという派生モデルも生み出している。’07年にはレトロモデルとして復刻も開始されたが、その過激すぎるデザインが敬遠される傾向にある。このAJ15は、シリーズの中でも異端児的モデルであると言えるだろう。

*参考文献『スニーカーJack Premium「まるごと1冊エアジョーダン23周年』(小社刊)

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