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編集長・宇野常寛 企画の判断基準は「自分が読みたいかどうか」

宇野常寛さん3月毎日更新 Q12. 「自分でメディアを立ち上げようと思ったきっかけは?」

「BEST T!MES」連載30問30答、3月は宇野常寛さんを特集! 自ら企画ユニット『PLANETS』を主宰、近年はメディアでの活躍も増える中、評論家として最新作『母性のディストピア』が大ヒット中。多彩な活動を続ける彼の「素顔」に30の質問で迫ります。

自分の世界観をメディアという形で表現したい

 

 以前の質問でもお話しましたが、「自分でも評論を書いてみよう」「自分でメディアを作りたい」と思ったからです。雑誌でも書いたりしていましたが、単純に書くだけじゃ嫌でした。自分のメッセージを伝えたり、自分を表現するだけじゃちょっと嫌で。何かこう、自分の世界観をメディアという形で表現したいなと。自分が他の人が好きなもの、おもしろいと思っているものを、他の人も巻き込んで一つの世界観で表現したいという、欲望の問題なんですよ。そういうのがすごく好きでしたし、今はそれができています。なので、PLANETSを手放すつもりはないですね。

 

 PLANETSでは紙媒体だけでなく、ネットや動画などの媒体も使っていますが、それは時代やニーズに合わせた自然な流れで行っています。実は、PLANETSを立ち上げる頃には、ここまで上手くいくとは思ってもいなかったんですよ。でも、自分たちが作っているものがトップクラスで面白いなということは、創刊当初からずっと思っていますけどね。

 僕が編集長を務めていますが、企画を進めるかどうかの判断基準は「自分が読みたいかどうか」。週刊誌で取り扱っているような、すでに作られている空気とか相場とかに乗っかって、それを確認するだけのものは意味が無いと思っています。企画はスタッフから上がってくることもありますけど、現時点では9割5分くらいが僕発信。スタッフ発の企画は20本あって1本あるかどうかというくらいです。外部の、例えば友人のライターからの持ち込み企画を採用したこともありますね。もちろん、これはよくないことで、率直に言って若い力が門を叩いてくれることを期待していますし、そろそろ自分で育てることを考えています。

〈明日の質問は…… Q13.「会社を運営する上で大切にしていることは?」です。〉

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宇野常寛・著母性のディストピア

 

宮崎駿、富野由悠季、押井守--戦後アニメーションの巨人たちの可能性と限界はどこにあったのか?

宮崎駿論4万字、富野由悠季論10万字、押井守論10万字の作家論を中核に、アニメから戦後という時代の精神をいま、総括する。
そして『シン・ゴジラ』『君の名は』『この世界の片隅に』――現代のアニメ・特撮が象徴するさまよえるこの国の想像力はどこにあるのか?

『ゼロ年代の想像力』『リトル・ピープルの時代』とその射程を拡大してきた著者の新たな代表作にして、戦後サブカルチャー論の決定版。

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宇野 常寛

うの つねひろ

評論家。1978年生。批評誌〈PLANETS〉編集長。著書に『ゼロ年代の想像力』(早川書房)、『リトル・ピープルの時代』(幻冬舎)、『日本文化の論点』(筑摩書房)、『母性のディストピア』(集英社)。石破茂との対談『こんな日本をつくりたい』(太田出版)、『静かなる革命へのブループリント この国の未来をつくる7つの対話』(河出書房新社)など多數。企画・編集参加に「思想地図 vol.4」(NHK出版)、「朝日ジャーナル 日本破壊計画」(朝日新聞出版)など。京都精華大学ポップカルチャー学部非常勤講師、立教大学社会学部兼任講師など、その活動は多岐に渡る。


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母性のディストピア
  • 宇野 常寛
  • 2017.10.26