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「THE 独裁者」電子書籍版 発売! 話題のPVを公開します

国難を呼ぶ男! 安倍晋三

鉄壁•菅官房長官に鋭く斬り込んだ
東京新聞記者 望月衣塑子氏が語る

「THE 独裁者」への思いとは……

話題の同書紹介PVはコチラから
https://youtu.be/2fBXIktlU8U

 立花隆氏の「調査報道」を、長年カメラマンとして見続けてきた佐々木芳郎さんと初めてお会いしたのは、森友学園での現場取材の場面だった。知の巨人といわれる立花氏と、南米のブラジル、アルゼンチン、パラグアイと海外取材にも同行されていただけあり、カメラのアング ルはここからが良い、「あそこのおじさんは、いろいろ地元の事情を知っているよ」など、次々 と取材のポイントをアドバイスしてくれた。子どもの世話があり、1泊2日の超特急で取材を 進めなければいけない私は、彼のアドバイスにかなり助けられた。 「一にも二にも、客観的に押さえられる証拠をどれだけ集めて提示できるか、それがポイント やで」と佐々木さんは繰り返していた。その佐々木さんにある日、声をかけられた。 「『モリ・カケ問題ってなんやった?』と、時間が経っても後から振り返れるような本を作ろうよ」

 2017年2月9日に朝日新聞が初めて報じて以来、森友学園・加計学園に関する疑惑が 次々と噴出した。疑問が晴れないうちに、野党議員などの調査により次々と新たな資料や別 の問題も折り重なるように出てきた。何が問題の本質なのかが、見えづらくなっている。佐々木さんの提案に、「ぜひやりましょう」と即答した。

 東京新聞社会部に所属する私は、2017年2月末以降、森友・加計学園問題の取材を続けている。6月からは菅義偉官房長官の会見にも出席し、質問を重ねるようになった。あれから 1年近く経つが、疑惑解明には、ほど遠い状況にもかかわらず、逆に官邸側からは、私の質問 時間や質問数は完全に制限されるようになった。11月から開かれた国会が閉会したときも、 J NNの世論調査では八割を超える人が、森友疑惑についての政府の説明に「納得いかない」 と答えているにもかかわらず、状況はむしろ後退している。

 友人たちからは「いつまでやるの?」「そろそろ賞味期限切れだろ」などと言われることも 増え、ときに無力感に襲われるが、「だからもうこのままで良いのか?」と自分に問うとき、「い や違うよね、絶対」との内なる声が聞こえてくる。

 行政の私物化が私たちの面前で、当たり前のように行われ、疑惑が噴出しても政府からは丁 寧な説明はいまだ聞こえず、第三者の中立的な調査団を作る気配さえない。人事権を握られた 官僚たちは、官邸の顔色ばかりをうかがい、「金額は提示したが、予定価格については言って いない」「記録も記憶もない」と驚くべき詭弁を弄し、偽りと忖度による行政が継続されているのが現状だ。

 書籍「THE 独裁者」では、なぜこんなおかしなことが起こっているのかという素朴な問いを、読者のみなさんとともに考え、共有してみたいと思う。

  今回、対談させていただいたのは古賀茂明さん。古賀さんと初めてお会いしたのは、武器輸出に関する記事でコメントを頂き、その後、『報道ステーション』で、私の記事を大きく取り上げていただいたあとだった。古賀さんは当時から繰り返し、「安倍政権は海洋軍事国家を目 指している」と私に力説していた。私は武器輸出問題の取材を進めていたものの、当時、そこまでの確証を持てていなかった。あれから3年経った現在、古賀さんの発言は先見性を持って いたと感じている。安倍政権は、着々と海洋軍事国家を目指していると思う。

 古賀さんは、ジャーナリストの後藤健二さんがイスラム過激派に殺害された当時、政府の外交対応を厳しく批判、「I AM NOT ABE」と、『報道ステーション』で発言、その後、 番組を降板した。古賀さんは番組のなかで、非暴力非服従を貫き、イギリスから独立を達成し たインドの首相ガンジーの「あなたのすることのほとんどは無意味であるが、それでもしなく てはならない。そうしたことをするのは、世界を変えるためではなく、世界によって自分が変 えられないようにするためである」との言葉を残していった。以降も、政治の情勢が目まぐる しく変わっても、その立ち位置や主義主張を変えることなく、冷静冷徹に現状を分析、安倍政 権の危険性を繰り返し世に問い続けている。

 今回、対談したなかで、私が最も印象に残ったのは、安倍昭恵夫人の秘書役だった谷査恵子さんのことだ。キャリア官僚ではない谷氏が財務省のキャリアである国有財産審理室長と直接やりとりしていることが、いかにおかしいかを、官僚のヒエラルキーを知り尽くす古賀さんが丁寧に説明してくださった。階級差を越えて、谷氏が本省の室長とやりとりができたのは、なんといってもバックに昭恵夫人がいたからだったのでは、と強く感じた。

 本書は、5つのパートに分けて議論を重ねた。

 まず、PART1では「安倍政権の未来図」を大胆予測。2017年10月の衆議院選挙の舞台裏と与党圧勝を受け、第三次安倍政権はあり得るかを考えた。このパートでは、古賀さんがある党から選挙出馬へのオファーを受けていたこともお話ししてくださった。なぜ与党圧勝を許してしまったのかを考えさせられた。

 続くPART2では、「森友問題とは何だったのか?」をテーマに、「閣議決定 昭恵夫人は 『私人』?」、「100万円の寄付はあったのか?」などを資料と付き合わせながら論じ合った。 「根拠なき値引き」(会計検査院)は、なぜ可能だったのか。

 PART3は「加計学園疑惑の深層」とし、毎年、私学助成金として100億円近い税金が 投入されることになった加計学園の問題を取り上げる。国家戦略特区諮問会議の議長でもある 安倍首相側のお手盛りと官僚の忖度によって「加計ありき」で大学設置が決まったその過程を 振り返る。「総理のご意向」を告発した文科省前事務次官の前川喜平氏、裏で取り仕切っていたと指摘される和泉洋人首相補佐官はどういう役割を果たしたのか、官僚だった古賀さんの発言は示唆に富む。

 そして、PART4では「安倍政権の正体」として、マスメディア操作、アメリカや北朝鮮との外交交渉などを論じた。自民党が2018年発議を目指す憲法改正や核武装論などについても考えた。安倍政権の体質が浮かび上がり、森友・加計の問題は決しておざなりにしていい問題ではなく、日本の政治構造の象徴であることが改めてわかると思う。

 最後のPART5は、「いま私たちに出来ること」。私たちは、「自分一人が声

 

をあげたところで何も変わらない」と思ってしまうが、本当にそうだろうか。政府が最も恐れるのは、民意 であり世論だ。まず何に疑問を持つのか、私たちひとり一人にできることを考えてみたい。

 この本を読んだ方々が、古賀さんや私と一緒にいまの政治や社会への疑問を整理共有し、そこから明日を変えるための一歩に繫がるものが生まれてくれたら、これほど嬉しいことはない。

                            望月衣塑子

                 

                                                           (「はじめに」より 2017年12月24日)

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